intermission~タイトルについて
はい、いつもお読みいただいてありがとうございます。
え、まだ連載三回目しかやってないのにいきなりintermissionってどういうことなんだって? そういうことですよ。いろいろ書かなくちゃいけないものとか読まなくちゃいけないものとかあってですね、大変なんですよ!
と、いきなり逆ギレ気味に始まりましたが、今回は、ちょっと趣向を変えて、タイトルについてぼそぼそとぎゃあぎゃあと、呟いてみたいと思います。
今回ね、ちょっと取り上げたいのが、P. K. ディックの代表作『アンドロイドは電気羊の夢をみるか?』。原題は『Do Androids Dream of Electoric Sheep ?』ですね。
どうです? これ。すごいタイトルですよね。
どうスゴイのかと言うとですね、この構文はどんな小説も端的に内容を表すことができるんですよ。例えばですね、今までに取り上げてきた文学史に残る名作の数々。
はい、コレ、どぉーん。
『鼻』芥川龍之介
→
『動物農場』ジョージ・オーウェル
→家畜たちは自立の夢を見るか
『斜陽』太宰治
→没落令嬢はダウナー系パリピ作家との結婚を夢見るか
ほら! ほら! 見て御覧なさい。「〇〇は××の夢を見るか」の形で作品の概要がしっかり表現されているでしょう?
このタイトルに当てはめると、いろんな小説のコンセプトを一発で表現することができるんです。
『ドリアン・グレイの肖像』オスカー・ワイルド
→ドリアン・グレイは不老長寿の夢を見るか
『それから』夏目漱石
→上級ニートの青年は略奪愛からの結婚の夢を見るか
『グレート・ギャツビー』スコット・F・フィッツジェラルド
→一途すぎる成り上がり青年は略奪愛を夢見るか
『風とともに去りぬ』マーガレット・ミッチェル
→没落令嬢は再起の夢を見るか
『1984年』ジョージ・オーウェル
→情報統制ディストピアで生きる人間は自由思考の夢を見るか
『リア王』シェイクスピア
→自己顕示欲の強い老人は孝行娘の夢を見るか
『金閣寺』三島由紀夫
→吃音の青年は文化財への放火でヒーローになる夢を見るか
『存在の耐えられない軽さ』ミラン・クンデラ
→政治的迫害を受けたプレイボーイは一途な女との平凡な結婚生活を夢見るか
『蟹工船』小林多喜二
→搾取される労働者は蟹缶の夢を見るか
『野火』大岡昇平
→前線で置き去りにされた兵士は焼肉の夢を見るか
『人間失格』太宰治
→隠れ陰キャのナルシストはドラッグと酒でいい夢を見られるか
いや、最後の方は、ほとんどただのdisりになってますね。ってか、『野火』なんて、コレ洒落にならんだろう、という感じですが。
まぁ、何が言いたいのかというとですね、自分で書いた小説も、一回この構文に当てはめてみるとコンセプトがハッキリしてくる、逆にここでスッキリしないとコンセプトがあやふやになっているって言えるんじゃないか、みたいな使い方もできるんじゃあないかっていうね、そういうことです。
最後に一言。
P. K. ディックはこんだけ自作タイトルがネタにされることを夢見たのだろうか?
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