ハーモニーの夜

林悟

第1話

「あはは。陽気ったら、スイカみたい!」

順子が笑う。スイカ⁉️ 何でスイカなんだよ?

スノボで転んだ僕をくったくない笑顔で笑う順子を見て、僕はそんな思いを頭からかき消した。彼女の笑顔が見れるなら、俺はそれでいい。

宇野順子ーー彼女と同じ大学に入った僕は、彼女を見て以来一目惚れしてしまい、何度もアタックをかけていた。

まずは僕の名前、多賀鷲陽気という名前を彼女に覚えてもらうところからスタートだったが、コレは簡単だった。多賀鷲ーータガワシという名字自体が珍しいものであったうえ、陽気って覚えやすい名前があるので、どちらかもしくは両方とも覚えてもらうのは容易いことだった。この件については、ホント両親ありがとうと強く思った。

ただ第二段階が大変だった。大学に入ってから彼女にアタックし続けたにも関わらず、駅前の喫茶店への初デートに誘えたのが、半年以上もかかってからだったのだ。そして今、長野のペンションへ1泊スノボ旅行に誘えたのが、この年末だ。

「あら? 今日は荒れるかもしれないわね」

順子の声で僕は我に帰った。いつのまにか、空が暗くなってきている。見上げると、雲が心なしか、増えてきているような気がする。

A「そろそろペンションに戻ろうか?」→第2話へ

B「最後にパウダースノー行っちゃう?」→第3話へ

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ハーモニーの夜 林悟 @ogutsugu

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