第5話:エウロペの真実、SNS炎上の偽り
5-1
プランⅡ(仮)とは別に、今回のAZISに関する炎上案件を注視している人物は複数いる。
例えば、エウロペ擁護派と言われる勢力、特定コンテンツをオワコンに追い込むために利用している勢力、もしくは……という具合だ。
六月下旬は別の意味でもエウロペの話題ばかりで、他の話題が欲しいというユーザーもいるだろう。
エウロペの件以外の情報を欲しいと思う一定ユーザーは存在するのだが、まとめサイトは閲覧数が増えるという意味でエウロペばかりを取り上げる。
それが、ある意味でもコンテンツ市場で様々な炎上商法が起きるきっかけを生み出したのは間違いない。
「何処もエウロペの案件ばかり……テレビで同じニュースばかりを報道する民放のテレビ局か……」
この状況に若干あきれるのは、フレイの方だった。彼はノートパソコンで様々なサイトの情報を見るのだが、どこもエウロペしか取り上げていない。
厳密には他のニュースもあるのだが、大きく取り上げているのがエウロペという方が正しいのだろう。
愚痴はこぼすが、それをSNS上で拡散しないだけ若干成長したのかもしれない。今の状況で炎上したら、まとめサイトに燃料をプレゼントするようなものだ。
その一方で、自宅ではなく近所のコンビニでスマホを片手に情報を調べていたのは
飲み物が切れたのでコンビニへ買いに行った……という具合だが、その服装はジャージ姿。周囲が指摘しそうだが、その様子もない。
(どちらにしても、今はシルフィードの方が優先か)
アスナの優先速度はシルフィードの方である。
あの時に姿を見せたのが本物かどうかは、ニュースサイトを見る限りでは不明と判断するべきだろう。
しかし、本当に偽者かどうかも疑わしい。実際、ニュースサイトの記事はどれもエウロペが用意したフラッシュモブというような記述の一点張りだからだ。
事務所から若干離れた場所、近くにはカードゲームショップなどが立ち並ぶホビーショップの聖地だろうか。
その近くにある太陽光発電の設置された一軒家、そこにエウロペは住んでいる……と言っても、バーチャルの方ではなくリアルの方だ。
(何がどうなっているのか)
最終的に謹慎取り消しになったアイドルの方は、自主的に活動休止という形に落ち着く。
それでもエウロペはまとめサイトが悪意を持って記事を書き、それこそ過去の超有名アイドル商法や自粛警察の二の舞になると言及した。
しかし、そこまで発言しても上層部の態度は変えることができなかったのである。一人のアイドルでは限界がある……ではなく、別の理由も否定できない。
「この記事は……」
ノートパソコンでネットサーフィンをしていた彼女の目に留まった記事は、あるバーチャルアイドルの記事だった。
所属は自分とは異なる事務所、記事上ではプランⅡ(仮)と書かれている。しかし、記事を調べてみると……。
(なりすまし? しかも、このレベルって……)
新人アイドルがエウロペに圧倒的大差で敗北したという内容の記事だが、この時間帯にエウロペがログインした覚えがない。
過去のマッチングを編集して見せかけた物も疑ったが、バーチャルドライバーではそうした不正を防止するためのシステムが実装されている。
その為、スコアの方をチェックしてみるが、スコアも捏造スコアとは考えにくい。不正スコアであれば登録不可となるのが当たり前だからだ。
それを踏まえると、この記事で書かれているマッチングは似たようなハンドルネームのプレイヤーによるマッチングを、あたかもエウロペがプレイしていたかのように見せかけたフェイクニュースと言えるだろう。
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