15:ガンギマリ顔

 さて、と――

 しつこい通知もようやく鳴り止んだところで、ステータス確認してみるか。

 プッシュ通知オンにしとるから、魔王辞典ペドペディア開かんで見られるはず。


 ……どうやって見んだ?

 ウインク! 目を閉じる! 上目遣い! 下目遣い! 横! 横! 流し目!

 はうあ!

 み、見えねー!

 どうやるんだ?

 ちょい、手鏡で確認。

 まずは寄り目……ん? かすかに下のほうに何か見える気が?

 そのまま、下向き? いや、違うな?

 ――あっ!

 分かった!

 寄り目の時みたいに、焦点をわざとずらす感じ。

 こう目を限界まで見開いてぇ~、焦点をぼかす感じでぇ~、ちょい下向きぃ~……

 ……いや、コレ、ただのガンギマリ顔じゃねーか!


 もう少し、見易い感じで通信送れよな~、魔王辞典!

 ステ見るたびに、ガンギマッてんの、おかしーやろがい!

 ま、それでも、女装した俺は、お可愛きゃわいいのだがなッ!!

 どやッ!


 ――少し、落ち着こうか、俺……

 で、どうなん、俺のステは?


レベル:10

クラス:魔王(Lv10:魔王バンタム級チャンピオン)

体力:11 戦闘力:11 統率力:11

知力:1,140 政治力:11 魔力:670,442,574

魅力:901,971 幸運:27 精力:∞

ボーナスポイント:+331


 おおっ!

 もうレベル10になってんじゃん!

 ……俺、なんかした?

 全然、レベルアップする要素、なかった気が……

 ま、いっか。

 それにして、やっぱ魔力の伸び、凄いな。

 最初から一千万あったけど、もう、六千万かよ!

 ん?

 いや、ちゃうな、コレ!

 六億やんけ、六億!!

 ちょっと、1つだけ、桁、おかしない?

 まあ、精力はずっと無限だけどさ。


 それにしても、結構ボーナスポイントあるな?

 よっしゃ!

 あのイジメっこ、ぶっ倒すため、これ全部、戦闘力にブチ込んじゃる!

 ポチッとな♪


 ピコーン!

 パッ――<幸運:358>


 アカン!

 間違まちごぉ~てもォーた!?

 なんだよ、くっそ!

 前回上げたアビリティを選択したまま、レベルアップ後も固定されとんのかよ!

 これじゃ~、今までのボーナスポイント全部、幸運に回しちまったことになるじゃねーか!

 くぅ~~~!

 でも、ワイ、へこたれへん!


 仕方ない、――今後、気を付けよう。

 で、ユニークスキルは?

 おッ、2つ獲得しとるがな?


<ユニークスキル:アサイラム獲得/コール・アンド・レスポンス獲得>


〔勇者もまた、疲弊し、時に弱さを露呈ろていする。しかし、飾らぬその姿にこそ友はかれ、お前を助けようと奮起ふんきする。これぞ真の友情なり!

 【アサイラム(庇護ひご):手近にいる者がかばってくれる】〕


〔お前の言葉には熱意があり、心が通い、魂がもり、仲間達を奮い立たせる歌をなす。そして、仲間達はお前のためうたを刻むだろう!

 【コール&レスポンス(唱和):仲間達の士気を上げる】〕


 ――いまひとつ、ピンとこねーユニークスキルだな……

 なんか、こう、二刀流とか、ヒドラ召喚とか、通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃できるとか、お兄様とか、がっちり、みなの心を、いや、俺の心を鷲掴わしづかみするような悪魔的スキルとか、手に入らんのかしら?


 まぁ、なんもしてねーからそんなもん、手に入るわけもねーか。

 そもそも……

 はじまりの街どころか、入学して教室に戻った、ってだけだしな。


 ……で、ドコまでがチュートリアルなん、コレ?

 教えて、偉いひと……

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