13:御石様よ、永遠に

 ――召喚、だ!

 第三の召喚――

 すなわち、

 俺の見知った物体を、別空間から引っこ抜く!

 ただし、今回は“”だ。

 ごく一部を召喚、いや、拝借はいしゃくする。


 この鬼龍院きりゅういん日和ひよりド畜生てんさいである!

 抜け目はない!

 まして、悪びれない!

 そこにシビれる! あこがれるゥ!

 ――俺自身が、だッ!!!


 御石様おいしさまに触れる順番が回ってきた。

 俺が最後。

 そう、このダイミングこそ、最適!


 召喚!!!

 俺の左手、そのてのひらの皮膚に、アイツの――

 俺をココに転生させた、あの……

 ――幼女神ロリがみの左掌の皮膚をッ、召喚!!

 薄皮でいい。

 ほんの少し、超ごく薄の皮膚、超々極薄サガミオリジナルの、その表皮の薄皮1枚を召喚し、俺の掌に貼り付かせる。

 そして、その掌でッ、御石様に触れる!

 いや、掌打しょうだ


 どうりゃッ!

 そして、

 ドヤッ!


 ――ペカーッ!

 えっ!?

 御石様が、石碑が急に輝き始める!

 なんだッ!?

 ドッドッドッ――

 なんだ、この鼓動にも似た脈動は!

 ど、どーした?


 ミシッ――

 乾いた高。

 なんか……イヤな予感。

 ピキッ、ピキピキピキ……

 ひび割れが走る。

 おっ!?

 ――バゴンッ!

 猛烈な轟音を響かせ、御石様が砕け散る。


「!?」

「わっ!」

「ギィィャャャァァアアーーーッッッ!!!」

「わわわっ!!?」


 ヒエッ!

 俺の驚きより、はるかに驚愕した表情を浮かべ、絶叫を上げる女教師。

 そのあまりにもでっかい金切り声に、石碑が割れたことよりも、そっちに驚くわ!


「お、おおっ、おおおっ、お、おぃ、おぃぃ、御石様がぁぁぁぁぁぁ!!!」


 ……――

 い、いや~……

 まさか、ね~。

 まさか、石碑が砕けるとは想像できんかった。

 正直、すまなかった、と思うょ。


 凄いんだな~、神様の力って。

 薄皮1枚で、この御石様とかいう、謎の石碑、ぶっ壊しちまうとは。

 うん――

 これからは、気をつけよう!


「くっ、くぅ~~~! あ、あなた達……じ、塾生は先に教室に戻ってなさーい!」


 あれ?

 キャラ、変わった?

 ショックのあまり、キャラ変わっちまったやないか、女教師!

 いや、さっきまでのが作ったキャラだったのか。

 かなり、衝撃的な事件だったのか、これ?

 そーいや、入塾式の時、第貳阡にせん回とか云うとったよな?

 んで、この石碑、創立以来、とか何とか……


 もしかして――

 御石様って……

 ――二千年前からあったわけ、コレ?

 ちょっと、ちょっと!

 だとしたら、国宝級なんてレベルじゃねーぞ!

 なんか、そう考えると……

 ちと、怖くなってきた。

 召喚のことは、

 召喚のことは――絶対、黙っとこ!


 えーと……

 この左手の、掌にまとわり付いたラップフィルムより薄い、幼女神の薄皮。

 これ、どーする?

 見つかったら、ヤバイ……よな?

 ごく薄だから、そこらに放っておいてもバレやしなさそうだが、万が一にも見つかっちまったら、色々やばそう。

 なにが怖いって、損害賠償。

 異世界にまで転生して、ま~た、金に困るとか、マジありえないっす!


 どーするよ!

 この神様の薄皮。

 どうやって隠す? いや、処理する?

 うーん……


 ――閃いたッ!


 証拠隠滅にはッ、

 こうしてヤルゥ!

 そりゃっ、

 パクッ――

 むしゃむしゃ……

 ――ゴキュン!

 うむ、美味びみ!!

 喰ったった!

 綺麗サッパリ、喰ったったわ!

 わっはっはっ!


 幼女のおぱんちゅさえ、しょくすことさえいとわない、と常日頃思っている俺にとって、幼女の掌の薄皮をすることくらい、平気も平気、いと容易たやすき紳士の振るまい、造作もない!


 おい、そこのお前!

 俺を誰だと思っている?

 俺の名を云ってみろ?


 そう、何を隠そう――


 ――この鬼龍院日和……


 ド変態けんぜんなのであーるぅ!

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