5:いってらっしゃい
「おい、幼女、早くしろ! はよ俺を転生させろし」
「……――むぅ~、しかし、おぬし……おぬしのおった元の世界、その中でもおぬしが生活しておったあの日本とかいう国のような学校というのは、極めて稀な存在でな~……」
「なんだ、できないのか、幼女? お前、神様だろ? さっさと探せ、俺が通える学校を!」
「焦らすな! 今ちょっと、
「分かったのじゃ! のじゃ、じゃねーわ。幼女の語尾が鬱陶しくて、こっちまで移っちまったよ、ったく」
いや~、それにしても――
テンション上がるな!
夢にまで見た学園生活!
部活とか修学旅行とか生徒会とか、そんな世界を味わってみたい!
中学はつまらんかったからな~。
なにせ、生徒がなんもできない。
基本、教師が決めた取り決めに従うだけ。生徒の自主性がない学校なんざ、つまらん。
その点、高校なら比較的自由だろ?
友達と遊んで、恋愛とかして、そのまま大学受験ってのもいいよな?
俺、勉強できなかったわけじゃないし、大学目指すってのもアリだな!
それに――
なにがいいって……
――金を気にしなくて済む!
どうやって家賃払うか、生活費捻出するか、アシ代払うか、もう金、金、金の生活はうんざり。
世知辛い世の中のことは暫し忘れ、青春を謳歌したい!
楽しみだな。
興奮してきたわ!
それにしても、まだかな?
まぁ、焦っても仕方ない。
よし、今の内に
俺自身の転生後の力ってのを、あらかじめ確認しておかなきゃアカンしな。
どれどれ――
……えっ?
ええっ!!
――マジか!?
ちょ、ちょい、ヒクわ……
俺の
レベル0で?
コレ……――ガチで使ったら、ヤバくねーか?
んー……
見なかったコトにしよう、そうしよう、うん!
おっ!
戻ってきたな。
「よう、どうだった、幼女? 見つかったか?」
「うむ――あるにはあったのじゃが、大分おぬしの元の世界の学校観とは違うようじゃが……大丈夫じゃろか?」
「学校観? そりゃ~まぁ、外国の学校とかだって日本の学校とは全然雰囲気違うっぽいからな~。異世界の学校って時点で、そりゃ多少違うのは覚悟しとるで」
「ふむ、それなら良いのじゃが。まぁ、おぬしは召喚の技に長けておるので、いざとなれば異世界転移はお手の物じゃて、どうにでもなろうが」
「あー……せ、せやな――」
――ヤバッ!
やっぱ、俺の能力、ガチっぽいな?
マジで大丈夫なんか?
俺が悪党だったら、かなり悪さしちまうレベルだぞ、俺の能力。
ホント、ラッキーだったな、幼女神!
俺が悪党じゃなくて――
そう、
――俺はタダの小悪党だ。
だから、大それたことはできねー!
「さて、それではおぬし。心の準備はできておるか?」
「おっ? もしかして、転生ですか?」
「そうじゃ――準備できておれば、すぐに転生させるぞえ」
「おう! いつでもええで! どっからでもかかってこんかい!!」
「んじゃ、いてらー!」
「……えッ!?」
――ギューンキュルキュルキュルキュルッ、ポムッ!
いきなり、俺の記憶はすっ飛んだ……
そして、
気付いた時、そこは――
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