第3話 逃亡

多分この人達って実は優しい人たちかも。僕は追い出そうとしないし。

僕は食べれないと悟ったほっとした。

ただなんかここ暑くない?僕暑いの苦手なんだよ、、、


「船長。こいつなんかぐったりしてないですか?そもそもここ太平洋のど真ん中ですよ。アデリーペンギンが住んでる場所の環境と真反対じゃないですか。早く涼しいところに連れて行かないと行けませんよ。」

やっぱりこの人たち優しい、、、さっきは噛んでごめん。


「君すごいね〜。このペンギンの種類がわかるなんて。」

どうしたの?早く僕をすずしいところに連れて行ってよ。感心してる暇なんて今は無いんだよ?倒れる

フリすればすぐに連れて行ってくれるかな?


「感心してる暇なんて無いですよ船長!!もうこのペンギン早くしないと死んじゃいますよ。」

バタッ

僕は倒れるフリをした。これなら心配してくれるよね。

「ほら船長。言わんこっちゃ無い。僕がすぐに冷蔵庫に連れて行きますよ!!」

「頼んだぞ。」


ふっと僕は持ち上げられた。

今涼しい所に行かないといけないのになんかこの温もりは不快ではなかった。

なんていうか今まで孤独だった僕だから、やっぱりこう言うにも憧れてたんだよね。


「おい。今涼しいところに行けるからちょっとの辛抱だぞ。」

「ありがとう。」

僕は彼に感謝した。多分僕が言ってることは伝わってないんだろうな。

「何で言ってるかわからんな。ありがとうってでも言ってるのか?礼はいらないぜ。よし着いた。ここが冷蔵庫だ。」

何か暗くて涼しい場所へと運ばれた。涼しくて気持ちいな。


「一旦ここで休んどけよ。あとで餌も運んで来てやるからな。じゃあ一旦閉めるぞ。何かあったらそこのボタンを押してくれ。多分俺の言ってることわかるよな。」

僕はこくっと頷いた。


「まじかよ。俺の言ってることわかるんだな。無理はするなよ。今はとにかく休め。じゃあな。」

静かにドアは閉められた。真っ黒な世界。でも涼しいから良いや。


「船長。さっきのペンギンに名前をつけたらどうでしょうか?飼ってるのにペンギンって呼ぶのもおかしな話ですし。」

なんか外で話が聞こえてくる。

僕に名前を付けるって?

そういえば僕名前なかったね。

そもそも僕1人だったからいらなかったし。

「北極を英語でノースポールって言うだろ。略してスポー。なんで南極じゃ無いかって思っただろ。面白い名前だったら覚えやすいだろ?南極と見せかけて北極から名前を付けるって感じに。」

スポー?変な名前って言うよりもダサい。

もっとマシな名前がいいよ。アレックスとかさ。


「まあ、船長が飼うので僕は特に異論はないっすね。みんなに覚えてもらえるので僕はいいと思いますよ。」

えっ?君も賛成しちゃうの?

僕嫌だよ。そんな名前。

あと僕って知らないうちにに飼われてることになってるんだね。

それは良いんだけど名前だけ変えて欲しいよ。

あとここにいれば休めるから良いね。


もうそろそろ大丈夫かも。じゃあこのボタンをポチッと。

「ボタンが押されたな。スポー俺が言ったことわかってるじゃん。」

きいっ

ボタンを押して少しすると彼が現れた。

「今から君を船長のところに連れているいくよ。」

なんか僕したっけ?そもそも休んでただけだけど。まさか落とされるわけじゃないよね。暑い日差しが僕を照り付けた。やっぱりここ暑いよ、、、

僕がボケーっとしていると船長が目の前に現れた。

僕が小さすぎるのか暑くてぼんやりしてるからなのかわからないけど船長は、巨人のように大きく見える。


「君に名前を付けることにしたよ。名前はスポー。良い名前だろ、ノースポールを略してスポー。」

結局変な名前から変わらなかったんだ。こんな名前嫌だよ、、、逃げちゃお。


「、、、?!どうしたスポー?!」

僕は暴れて海へと逃げ込んだ。泳げないのにね。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る