第7話 まずはハチ退治から
電車に乗る前はハトのほうが到着が早いのではないかと思っていたが、電車がダンジョン反応から遠ざかり始めたため、一度戻って南浦和で武蔵野線に乗り換える、という手間をかけていたのにも関わらず、普通に電車のほうが到着が早かった。
千葉に住んでて毎日東京まで電車で出てきてると、東京は近い印象が出るんだよなぁ。考えてみなくても通勤で1時間以上かかってるんだし、それなりに距離があるのは当たり前の話だし、ファザー牧場は結構南だしなぁ。
乗換後数駅先で下車したものの、それからそれなりに距離を歩くことにはなった。川沿いの、大きな公園がダンジョン化されているようだ。
猫で探索させたいところだが、ハトを移動させつつ猫を操作するのはやはり厳しい。仕方ないので溜まったDPでスキル「マルチタスク」を取得。
「認識力が上がって同時に複数の行為を行いやすくなる」というスキル説明文から効果には疑問を感じていて、やや心配はしていたものの、猫とハトを同時に操作できるようにはなった。
とはいえ、まるで違う画面を3つ同時に見ているようで操作しずらいな。影渡りを使用しつつなんとか調べる。
…確証はないがハクビシンかな?タヌキやアライグマではなさそうだし、猫というには少し違う。
しかし、ダンマスがいない?
ダンジョンコアの感触がどうにも弱い。
しばらく調べると、どうも複数のハクビシン(?)に分けて持たせてるっぽい。
こういうのって種族特性か何かなのか?一匹なら問題なく退治できそうだけど、倒した時点で他が逃げを打つと辛いな。
とはいえ、同時に倒すには操作できるこちらの操作できる駒が少なすぎる。…こっちはいったん保留だな。最寄りの数台しか止めれない駐車場をダンジョン化し、一旦の足がかりにする。小さい区画の方が占拠コスト低くてありがたい。
こいつらも今のところ人への直接的な被害は出していないようだし。
少し前にようやくファザー牧場にハトが到着しているし、先にそちらから処理しよう。ハトは暗くなるにしたがって周りが見えなくなってきたため、暗視スキルを取得させている。
そのため、多少暗い中でもよく見えるが、ファザー牧場ではハチによりダンジョン化されているのは牧場の一部、花の多い区画だけのようだ。
その近くにある案内所が占拠しやすそうだったため、ダンジョン化しようとしてハトを近づけたところ、ハチの一部が向かってくる。
速度という面ではハトのほうが断然上なんで、逃げるのは余裕だ。
いったん距離をとる。
ハトには隠密を持たせてるんだが、隠密だと気が付かれるのか?
それとも、ハチは視界以外でも認知しているらししい、そちらかもしれないが。
こっちはありがたいことにかなり大きな反応がある。
ハチは別の群れに分離すると聞くし、ハクビシンらしき生物よりハチのほうがダンマスが複数いても不思議でなかっただけに、少し安心する。
とはいえ、時間はかけれないな。
今していないだけで、これから別の群れになられても困る。
しかし、上空から見るとよくわかるが、明らかにTVクルーらしき人物もたくさんいる。これ、いきなりハチが消えたらそれはそれで大ニュースだよなぁ。
…ん?でも、考えてみたらネズミと同じならダンマスを討伐できればハチの指示権は取得できるはず。
なら、どこかに向かって飛んでいかせることは可能だろう。
少し離れた小屋のような区画をダンジョン化し、猫を転移させる。
…しかし、猫で影渡りしていても感知されるようだ。
近づくとすぐに迎撃機のごとく、一群が向かってくる。
このハチの一群を倒すこと自体は難しくないだろうが、数が多すぎる。
よけて影を渡って通ろうとするが、影渡りは途中に障害物あると転移できないようで、急激に密度を上げられると転移が出来なくなってしまう。
結果として、一定の距離から近づくことができない。
こっちはこっちで辛いな。
正直、このハチだって人的な被害はまだ出していないんだよな。…経済的な損失はともかく。
とはいえ、移動してくれと言っても移動はしてくれないだろう。
…退治するしかないか。
暗殺特化型の猫や移動力重視のハトでは処理が難しい。
監視カメラがあたりにないことを確認し、占拠していた小屋の中に転移する。
ハチ駆除用の防護服を着ているように偽装する。
スマホで自身を動画にとって、動画上は偽装された姿が出ることを確認する。
テレビに取られても最悪身バレしない程度の対策はとれただろう。
まあ、偽装が通らなかったら明らかに人間でない姿が出るだけではあるんだが。
現時点でダンマスのような人外の姿を見せるメリットがあるのかどうかはまだ判断できる根拠もない。バレた後で隠すことができない以上、公開の必要があると確信できるまで身バレ対策を取っておく必要はあるだろう。
正直なところ、人も金も費やそうと思えば費やせる国家という権力と戦うのは無謀すぎる。この程度は最低限の用心として備えておいたほうがいいだろう。
ここまでして初めて、自身に風魔法を取得する。
画像としては掃除機で吸収しているように見えればいい。
軽く魔法の操作性を確認する。
使ったこともない魔法という技術を、スラっとなんの説明もなく理解できるってのには違和感を感じなくもないが、もう今更だろう。
猫を自身の影に潜ませつつ、小屋から出る。
割とすぐに迎撃に出てきたハチの一群を風魔法で吸収する。
意図的に吸引音のようなものも鳴らす。
吸い込んだ先では超小型の風邪の刃のようなもので雑にシュレッダーのような形で退治する。
もちろん寄ってたかって近づいてこられるが、それらもすべて吸い込んでいく。
予想通りではあるが、まるでDPは稼げていない。
経験点のようなものはもらえているのかもしれないが、自身のレベルはよくわからないし、相手は一山いくらという感じでたくさん数がいる。召喚に大したコストはかかっていないだろう。
経験点もあまり期待できない気はする。
このままゆっくりと近づいていければいいのだが。
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