第5話 今後の方針を検討する間に
皇居前広場から桜田門に戻って門の入り口部分だけを自ダンジョン化する。
正直、ダンジョン化するためにポイントを使用する以上、ある程度は出入りがあって回収できる場所にしたい。
すぐ隣のすごく交通のある道路にしない理由はまるでポイントが違うから。
半分以下程度の広さでも少なくともゼロが一つ違ってくる。
どうも道路だと全般的にそんな感じになる。
少し調べる限り、「区画として区別されているかどうか」が大きな区分になる様子ではある。なぜなら続いてる道でも門やドアのようなものを挟むと途端にコスト下がるから。
信号や横断歩道などは区画として判定されないようで、道路は全体としてかなり広い土地として判定されている模様。
これだと出入りが安定して発生する主要道路とか高速道路ならともかく、道路をダンジョン化するのは利点がかなり少なそうではある。
まあ、このあたりはDPに余裕ができてから検討でいいだろう。
感知できた3カ所のうち最も近かった北にあたる位置のダンマスのところまで移動してみたところ、上野公園のハトだった。
しかし、こちらは新宿にいたネズミのような狂暴化はしておらず、緩やかなダンジョンの拡大を行っている以外は特段人への危害を与えている様子はない。
急激にハトが巨大化したりとか、明らかに数が増えているというわけでもないようだ。
…これなら放置でもよさそうな気はするな。まあ、動物っているだけでもトラブルのもとにはなるので、完全無害というわけでもないんだろうけど。
今感じ取れる他2つは距離的に遠い方がおそらく千葉のさらに南あたりと思われる。もう一つは北北西あたりで、東京か埼玉かという感じの位置になって居る。
どちらの反応もこのハトのダンジョン同様にやや弱め。
一度上野駅を経由して東京駅に戻って、当初の予定通りDP回収に走るか。
上野駅に移動する前にいったん上野公園の出入口のみをダンジョン化しておく。公園として区画分けされているせいだろう、出入り口付近のみなら常識的なコストで確保できた。
上野や東京駅もDP収入的にはおいしそうなんだけど、占拠するためのDPがあまりない。それでも山手線のエスカレーターの一つを自ダンジョン化して出入りでの収支を得れるようにする。
ここから感じ取れる3つのダンジョンは強さという意味ではどれもネズミより下のように感じる。なので、多少ではあるが時間的な余裕はあると想定して、一旦予定通り品川にいって食肉工場を確保することにする。
他のダンマスを退治して、そのダンジョンを確保できるとしても場所によっては収入がおいしくないところもあるだろうし、DPという意味ではダンマスやその配下の退治で稼ぐのは難しそうだからなぁ。
なにより、この使い魔はもう暗殺というか、1対1に特化してるからわざわざ複数のザコ配下をちまちまと倒していくより、ダンマスかダンジョンコアを直接狙っていくのが効率的だろう。
そうなると、DPは他で稼ぐ必要がある、という結論になってしまう。
なら、食肉工場の一部のみ、しかも解体なりなんなりをやっている場所なんてある程度限られるだろうし、そこだけをダンジョン化して収入はそこに頼ったほうが効率的だろう。
豊洲の魚市場ほうは少し微妙かもな。行ったことはないが、ネットで見る限り卸売場と仲卸の売り場は別ビルになって居るらしく、車の出入りするようなところを低コストで抑えれればいいが、そうでなければ全体的に割高になってしまう印象はある。
だが、魚でDPが稼げるのであれば、多少高くても回収は容易だろうし、投資のしどころではあるだろう。まずは一度試してみてからかな。
DPがたまって占拠できるようになれば東京や関東圏の主要な駅は確保したいし、移動を考えれば東京だけでなく、大阪や名古屋、福岡といった人口の多い都市の主要駅も確保したいところではあるが、現状だと絵に描いた餅だな。
東京駅から山手線に乗るオジサンの影に入りながら品川に向かいつつ、途中駅も一部だけでもダンジョン化するか。
そんな風に緩やかに自ダンジョンの場所を広げていっていた。
千葉でとんでもないことが起きているとも知らずに。
街角のTVがリポーターを映す。
「こちらは、この時期ではコスモスで有名なファザー牧場です。ご覧になっていただけているでしょうか?とんでもない数のハチが飛び回っています」
やや遠くのコスモスがたくさん咲いているところをカメラが映す。多すぎて数の判別すらつかないほどのハチが飛び回っている。
「職員の方にお話を聞いています。職員の山本さん、このようなことは過去に合ったのでしょうか?」
「いえ、初めてのことになります」
「このハチは危険ではないのでしょうか」
「現時点ではミツバチばかりが確認されています。スズメバチのような狂暴性はありませんが、この数ですし、刺されると大変危険です。お客様にも退避をアナウンスしています」
「お客様や職員にけが人などは出ていませんでしょうか」
「念のため逃げ遅れがないかなど確認していますが、ここまで増えるまでに時間的な余裕があったため、退避のアナウンスなどは余裕をもって行えています。現時点では刺されたというような人は確認していません。…そういう意味ではコロナで入場者が減っていたのおかげかもしれませんね。…不幸中の幸いです」
「急に増えたというお話でしたが」
「はい、ハチ自体はどうしてもゼロにはできません。割合よくいるのですが、急に増加しました。正直、これだけの数はこのあたりのハチがすべて集まったとしても難しいと思うのですが、どこからやってきているのかわかりかねますが、さらに増えてきている印象があります」
「まだ増えますか?また、これからどうされますか」
「これ以上は増えないと思いたいところですが、原因も不明なため正直分かりません。本日は臨時休業とさせていただき、入園料もお返しする予定です。これから駆除業者に駆除していただく予定ですが、数が多いですし、果たして今日だけで済むのかはわかりかねます」
「お忙しい中ご返答ありがとうございます。こちらも危険にならないように少し移動します。いったんスタジオにお返しします」
「いえ、ありがとうございました。…しかし、本当にこのハチはどこからやってきたのか…」
困惑顔の職員のアップでTVは切り替わり、戻されたスタジオでコメンテーターが「少し心配ですね」とコメントし、話題は大物芸能人の結婚話に移り変わっていくのであった。
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