第19話 勇者冒険する ③


クエストを決めて私は、またシシャール街道を馬車で進んでいた。

次のクエストも盗賊の討伐。

モンスターの討伐依頼もあったのだが…正直怖いから人相手の方がやりやすい。

まぁ報酬もいいからね、



ガタン!


ガタン!



うーん、それにしてもお尻が痛いなぁ…

何かクッションでもあればいいのに…


「ねぇ、おじさん?シレイルの町まであとどのくらいかかる?」


「あぁ、ザッと5時間くらいじゃねぇかな」


「え…5時間もあるの?」


「しゃあねぇーよ。シシャール街道は馬車の通りも多いし、混むんだよ。だから盗賊が多いていうのもあるんだがな」


「そうですか…」



馬車は長閑な草原をひたすら突き進んだ。

2時間ほどすると馬車の台数も減ってきた。


朝から馬車に乗って2時間。

もうお尻が限界です!痛い!


私がイライラしていると、ヒヒィーン!!

と馬が鳴き馬車は急停車した。


「っ!   ちょ、ちょっとどうしたの?」

「お嬢さん…逃げた方がよろしいかと…」


「どしたの?  ってあぁ…そういうこと…」


そうそこにいたのは50人を超えるであろう数の盗賊が道を塞いでいた。

チョロチョロと声が聞こえて来る。



「ただの送迎馬車を止めて損したかと思えば…あんないい女積んでるぞ!」


「ひひっ、順番はどうするぜ?」


「んなもん、俺からに決まってるだろ?ヤベェ、激ってきたぜぇ!」



んー…やっぱり盗賊ってバカなのかな?

だからお金持ってるなら娼館にでも…


まぁバカだからしょうがないのかなぁ…


私は荷馬車から降り、盗賊達に向かい合った。

「お、おおお嬢さん!?早く逃げな!」


「大丈夫ですよー。おじさんこそ避難しててください!」


「いや、俺は積み荷もないしいいんだが…それだとあんたが危険だよ」


「大丈夫ですから、これもクエストの一環ですから」

と笑って聞かせその場を後にした。








___________________________________




「で、あなた達はクエストの依頼にある盗賊と関係あるのかな?」


「クエストかどうかは知らんが、そうだぜ?俺たちは気高き盗賊様よぉ!!!!!」


「その気高き盗賊様が、私みたいな小娘相手に手こずってるって恥ずかしいですよね?」


するとリーダー的存在の人物が顔を赤くして…


「じゃ、じゃかぁしぃわ!!お前なんて俺1人でも…ひっ!?」


「じゃあ…ちょんぎってもいいよ?あ、して欲しいの?」


「け、結構です!!」


その場に残っていたのは命乞いをするリーダー的な男と私。そして横倒れたほかの盗賊だけだった。

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