第13話 動き出す歯車 ⑤


僕とリリーネ、は謁見の間ではなく応接室へと通されていた。

僕たちと向かい合い座るのは皇帝とエリシア姫だ。

「モロハくん…答えは出たかな?」


「はい。結論は出ました」


そう。もう決めたんだ。

ここでしっかり伝えないと…


「では聞かせてくれ」


「はい、私はエリシア姫と結婚して皇族に入ることはできません」


僕が皇帝陛下に発言すると、

横に座っていたエリシア姫は絶望感を徐に出したような表情をしていた。


「私は、このリリーネと一緒に公爵家を盛り上げていこうと考えています。正直言って皇族になって自由がなくなるのが嫌なんです。

ですから皇帝陛下…エリシア姫には悪いのは重々承知ですが…どうか婚姻の件はないことに…」


俺が頭を下げると皇帝陛下は口を開いた。


「そうか…それは残念だな……」


するとリリーネが立ち上がり口を開いた、


「皇帝陛下、私はエーデリンネ子爵家の長女 リリーネ・ガン・エーデリンネです。少しエリシア姫様とお話がしたいのですが、別室に行ってもよろしいですか?」


「ん?ああ、了解した。」


リリーネとエリシア姫は応接室を出て行った。と言うことはここは2人になるわけで…


「モロハくん……娘の何が悪いんだ?」

「いや,ですからエリシア姫には何も問題はないんです!僕は公爵家を盛り上げたいからであって…」


「だからって、エリシアを否定するのか〜!?」

「いや,だから…」


「俺が…俺がどんな気持ちで…エリシアと結婚させてあげようとしたか… 本当はしたくなかったんだ!でも、エリシアがあの方と結婚したいって言うから仕方なく…」


あぁ、あれだ。娘が可愛くて可愛くて仕方のないやつだ。確かにめんどくさそうだ。


「皇帝陛下…エリシア姫が公爵家に嫁ぐと言うことはできないんですか?」


「何を言う。エリシアは嫁がせるわけないだろ」


こりゃダメだ。もう帰りたい。

というか僕を1人にしないで!?


すると、ナイスタイミングというべきだろうか、リリーネとエリシア姫が戻ってきた。


「お父様…お話があります」

「おぉ、なんだ?エリシア?」


「私を…私を、公爵家へ嫁がせてください!!」



「「………な,なに!!!!!?」」







◇ 公爵家



「…で、モロハ…この状況は…なんだ?」


「えっと……なんでかわからないんですけど…いつの間にかこうなってました。」


自宅のリビングには、俺の右腕にリリーネ、左腕にエリシア姫がいた。


その前に座るのは父さん、母さん、顔を引きつったアリアだ。


エリシア姫が皇帝陛下に嫁がせてくれと言ってからは早かった。

さすが娘に甘々な皇帝は断ることもできず結局オッケーするしかなかったというわけだ。

そこは踏ん張らないといかんだろ。


この国の法律が適応され、嫁ぐ場合 配偶者の自宅で済まなければいけないのだ。まだ婚約の状態なので同棲しなくてもいいのだが…エリシア姫は城を後にした。すなわち皇帝からエリシア姫は離れたことを意味する。

逆にエリシア姫は少し喜んでいたが…


「というわけで、モロハ様のお父様お母様、そして妹様…不束者ですがどうぞよろしくお願いします!」


「いやいや,皇女様…こちらこそ不束な息子ですがよろしくお願いします…」父


おいおい、不束って息子のこと言うのどうなのよ。

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