第6話 新しい命の価値 ④
『今日はありがとうね…諸刃くん、今度はいつだっけ会えるの、』
「来週の土の日じゃないかな?」
「土の日か…分かった!ありがとうね、じゃあまた今度!」
「うん、また今度ね」
僕はリリーネを送り届け公爵邸への帰路へとついた。
本当は警戒なしに徒歩で動く貴族はいないのだが…馬車は正直おしりがいたくなるから乗りたくない。
そんなこと言ったら、お父さんに笑われたが…だけど15の成人までには作法は覚えてもらうよと言われた。言っても公爵家だし…
貴族街の大通りを進んでいると噴水がある広場の椅子に誰か座っているのが見えた。
ん?女の子?
まだ少し小さめに思える女の子が座っていた。
気になり近づいていくとそれなりに身長があることがわかった。見る感じ150くらいかな?
じゃあ7歳くらいかな?
慎重に近づいていき声をかけるとこっちを向いてくれた。
「あのー、こんな時間にどうしたんですか?」
ベンチに腰掛けた金髪ロングの少女は僕の方を見て一言…
「……あ……見つかっちゃった…」
と小さい声をこぼした。
◇
「なんだ…警護の人じゃなかった」
『警護の人?じゃあ、君も貴族の子?』
「貴族?あ,よく来るおじさんたちのこと?んー、貴族より貴族?」
貴族より貴族?
貴族より上?そういえばこの子の右胸にあるブローチの紋章…
あ…
「も、もももももしかして…皇女様…ですか?」
「皇女?…んーあ、確かに私のこと皇女って言う人もいる。……どしたの?頭なんて下げて」
『ご無礼を!皇女様に向かってタ、タメ口なんて…』
そう僕がしたのは日本と伝統謝罪方法…
【DOGEZA】
だ。もうこれしかない!
「大丈夫だよ?…だから頭上げて?」
「でも!!」
「むぅ……いいから上げて」
「は、はい…」
僕の土下座は意味あったのかな?
初めてしたんだけどなぁ…なんか心がすり減るなこれ。
皇女様に横に座るように言われ大人しく横でお話をしていた。
「え!?抜け出してきたんですか!?」
「ちょっとうるさいよ?……外に出たくても自由に動けないし…だから?」
「いや、だから?って言われても…」
この子とんでもなく天然だ…
後が大変そうだな…可愛いけどね、
うん、可愛いんだよ、仕草が。反応が…顔もだけど、何故か庇護欲が湧いてくる。
気持ち悪いかな?
すると…
「……楽しい…」
「……え?」
そんなことを言い出した。
「…君と話してると楽しい…」
「あ、ありがとう…ございます…」
「…初めてだから…同じくらいの子と会話するの」
「そうなんですか…」
ずっと1人だったのかな?
「…あの…一つだけ……私と,お友達になってくれませんか?」
「え?……あ、うん、もちろん!」
「ほ、ほんと?……ありがと」
あ、勢いでもちろんって言ったけど…
まぁ彼女が嬉しいならいいか…
「一つ聞く…名前は?」
「あ、僕はモロハ。モロハ・ガン・アストラリン。よろしくお願いします」
「…僕?モロハ…男?」
「うん…あ、髪の毛かかってるから女の子だと思いましたか?」
「うん…でも可愛い。あと敬語いらない」
「え、でも…」
「もう言わない」
「はい…」
「よし、私はユリアナ・ガン・ユニエタール。ユニエタール第2皇女。ユリって呼んで」
「わ、わかった…よ、よろしくユリ」
「うん、よろしくモロハ」
ということで、僕に皇女な友達ができました…
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