末離編 最終話 二つの教会

たくさんの信者を連れ、アインと末離が来たのは荒れ果てたかつての教会だった。

「うわぁ、懐かしいなぁ。」

「末離様、それだけじゃありませんよ。」

そこに一人の女性が現れた。

「末離、こんなところに何の用だ。それに懐かしいやつがいるじゃないか。」

「末無…様?」

ミナに末離が駆け寄り、小さな声で言った。

「今その姿で来られるとややこしいよ、お兄ちゃん。」

「おっとすまなかった。」

辺りが光ると、そこには二人の男女がいた。

「これでいいだろ。なぁ姉さん、大丈夫か?」

「ええ、ふふ。分かりますよ、末離。また成長したわね。」

そこへ有間がやって来た。

「すまない。少し手が込んでしてな。アイン。」

「な、有間。お前はどうしてここにいるんだ?」

「アインというやつに頼まれたんだ。教会を復活させてほしいとな。」

「アイン君?そうなの?」

「ええ。最近、末無様や末離様の目撃情報がありましたので貴方方をお迎えするために元の教会を復活させようと思いましてね。」

「アイン君…。」

「まぁ、そうだな。今の状況は知った。少しアレンジはするがほとんど同じように創る。」


すると瞬く間に教会がきれいになった。

「これで終わったぞ。俺は忙しいから帰る。報酬は三人に渡してくれればいい。」

有間はどこかへ消えてしまった。


末無、未無、アインは本館の方に入った。末離は悪魔信者だった人たちを連れ、もともと自分が住んでいた隔離棟へ向かった。隔離棟の外見は少し大きくなっていた。

「ここは私が元々住んでいたところ。さぁ、みんな中に入って。」

その姿を末無とアインが見ていた。

「やはり末無様の言う通り、末離様は人を愛することが向いているようですね。よくわかりますよ。私も彼女の愛で救われた一人ですから。」

「貴方は末離のもとへは行かないの?」

「ええ、私が今彼女のそばでできることはありません。彼女はこの永い時で強くなった。」

「そうね…。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る