異世界編 第1話 幸せの結末の先
俺はイルマ。小さいころは孤児で盗みをしながら生きていた。だけど、ある時あの人に逢った。テラさんだ。あの人の笑顔が好きだった。一緒に冒険しているとさらに心惹かれていった。そして魔王を倒しテラさんは元の世界へ帰って行った。そのあともう一度来てくれた。だけど、僕は忙しいのもあったけど恥ずかしくてあまり一緒にいられないままテラさんは帰って行った。その時、テラさんは自分のコピーを残していってくれた。
「本当にいいの?イル君」。
「ああ、僕はエクステラさんに失礼なことをしてしまった。だから、僕はその通りに幸せにならないと申し訳ないんだ。」
僕とテラさんは結婚した。二人で幸せに暮らし娘もできた。娘はテラさんに似てとても愛らしかった。だけど、思ったんだ。エクステラさんは僕が幸せに暮らせるようにこの世界を去ったんだと。そうではないと信じたいが、そう思い始めるとさらに考え込んでしまう。
「テラさん…僕たちはこんなに幸せでいいんだろうか?」
「ん?そうだね、イル君が幸せならいいと思うよ。」
「いや、確かに僕たちは幸せだ。だけど、向こうの世界に帰ったエクステラさんは幸せなのかな?」
「・…あんまり言いたくなかったけど。幸せじゃないだろうね。」
「…」
「正直私も同じだからね。もう仲間とも違うお兄ちゃんも好きにはなれない。ずっと孤独だろうね。」
「何かできることはないんだろうか?僕は彼女に幸せを分けてあげたい。一番頑張ったエクステラさんが…!テラさんだけが…!幸せになれないなんて!何がハッピーエンドだ!あの冒険の…この世界の主人公は彼女だったはずだ!主人公が救われないのは間違ってる!」
僕は自分の無力さに怒りが差してきた。
「ただいまなのです!」
「ミクルおかえり。」
「パパはどうしたのですか?」
「ミクルには関係ないよ。さ、ママと一緒に遊ぼうか。」
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