末離編 第5話 失ったもの

末離は想定外の人物に驚きを隠せなかった。今まで忘れていた大切な人の存在を。

「あ…アイン君…なの?」

「はい、そうですよ。末離様。」

目の前の男性は答えた。

末離は涙が堪えられなかった。

(なんで今まで忘れていたんだろ。こんな大切な気持ち。)

末離はアインに抱きついた。その時一つの答えに気づいた。

(そっか、ヘルちゃんと融合したときに失ったのはお姉ちゃんに対する気持ちだと思ってた。それだけじゃなかったんだ。私は“愛”を失ってたんだ。だって、アイン君は私にとっての“愛”そのものだから。)

末離はやっと掴んだ答えを心に秘め、今はこのままでいようと思った。

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