毎年、この時期になると多くの家庭で同じことが行われているのでしょうね。
生前の彼と彼との出来事を思い返して、夏の日の遅い夕方には送り火で戻ってもらう風習。
誰かが覚えている限りその人は永遠に存在する、と何かの本に書いてありました。亡くなった彼自身を忘れないためと、彼との出会い・別れにより交換された心の思いに対する振り返りを行う夏の日。
毎年、夏の日はそうやって生きている人達の中で積み重ねられていくんだ。
その思いが文章の一文字一文字から感じられます。何も引けない・何も足せない文章でした。
追伸
来年もまた『スーパーの』スイカなんでしょうね。(笑)
作者からの返信
ぬまちゃんさん!ありがとうございます!
何も引けない・何も足せない文章!作家にとって最高の褒め言葉だと思います!ありがとうございます!
スーパーの、が肝ですよね(笑)
ある夏の日の記憶だけが、いつまでも変わらない明るさでそこにある。
もうこの出だしだけで最高なんだよなぁ。
國枝さんの文章はほんとうに素敵です。
おしゃれなんだけどかたっくるしくない。
この短い中で征ちゃんの人となりも理解できて、
だからこそ霊となってお盆に帰ってきたとしても、どこか飄々としているんだろうなぁというのが思い浮かびます。
素敵な作品でした。
作者からの返信
飛鳥さん!ありがとうございます!
その最初の一文は、最後まで読んだあと読み返した時にちゃんと意味を持つように、こだわったところだったので...!
人を書ける作家になるのが目標なので、人となりが伝わっていればとっても嬉しいです!
素敵な感想、ありがとうございます!!
征さんは生前も今も自由なんですね。
そして自由で居られるのは、帰りたい場所が在るから。
「家」と言う感覚が希薄な昨今、必要な物語に思いました。
これが淡々と語られているから良いんですよね。説教くさいものだと、身につまされてしまって心が苦しいだけのものになってしまう。
伝えたいことを置きに行く文章作法・構成は、じんわりと心に染み入ります。
死を温かく包むやわらかな迎え火と送り火。どうか征さんの魂の安らかなることを……いや、冒険に満ち溢れたものであることを願います。
作者からの返信
詩一さん、今回も素敵な感想をありがとうございます!
今回はあえて「死」の部分を書かないことを意識してみたので、自然と客観的な淡々とした語り口になったのかもしれません。
征ちゃんはたぶん向こうの世界でも自由気ままに生きていると思うのできっと大丈夫ですよね(笑)
最後まで読んで、もう一度最初の一文を反芻すると、綺麗に繋がって物語の深みが増した気がしました。
湿っぽくなく、でもどことなく切なさが漂う雰囲気が素敵です。