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「あれ? 勇にぃなに見てるの?」


 珍しくノートパソコンを開いていた。


「おお、未夜か。これはカクヨムだ」


「カクヨム?」


「なんだ、お前、読書家のくせにカクヨムを知らないのか。いいか、カクヨムというのはKADOKAWAと株式会社はてなが共同開発し、2016年にオープンしたサイトで、誰でも無料で書けて読めるウェブ小説サイトなんだ。異世界ファンタジーからミステリーまで様々なジャンルの小説が投稿されていて、その作品数はうん十万にも上るんだ。企業とのタイアップも多くて、常に何かしらのコンテストが開催されているのも特徴だな」


「説明口調がすぎる」


「しかも今は年に一度、カクヨム最大のイベント、第7回カクヨムWeb小説コンテスト、通称カクヨムコン7が開催してる真っ最中なんだ。俺が読んでたのは、それに参加してる館西夕木先生の新作ラブコメ『僕が学園一の美少女の求愛を断るたった一つの理由』https://kakuyomu.jp/works/16816452220880868947だ」


「勇にぃってそういうのも読むんだ」


「未夜、お前もこの作品を読め」


「いいよ、モニターの文字って読みにくいから」


「読むんだあああああああ」


「『10年ぶりに再会したクソガキは清純美少女JKに成長していた』のあのキャラも友情出演するらしいぞ」


 そう言って眞昼が横から顔を出す。


「眞昼、いつの間に!?」


「読め」

「読め」


「ひ、ひぃ」


 二人は明らかにいつもと様子違う。


 よく見ると勇にぃは髪がいつもよりふさふさだし、眞昼は胸がぺったんこだ。


 本当に勇にぃと眞昼?


「読め」

「読め」


「こ、来ないで」


「読め」

「読め」


「いやああああああああ」
















「ゆ、夢か」


 夢でよかったよ。


 それにしても、夢の中の偽勇にぃたちってなんて言ってたんだっけ。


 えっと、たしか、カクヨム、だっけ?


 私はスマホを手に取った。



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