第6話 緊急ミッション、クソガキに見つかるな!
1
非常に、非常にマズい事態だ。
夏休み最終日に手を付けていない課題を発見してしまうことよりも遥かにマズい。
「なー、眞昼。ここのアイテムって――」
「貸してみ」
「ん」
ベッドの縁に座った未夜が眞昼にゲーム機を手渡す。
朝華は少年漫画が気に入ったようで、むさぼるように読んでいる。
「あの、勇さん、ここの続きの巻取ってもらってもいいですか?」
「あ、ああ。はいよ」
「未夜、これそもそもキャラが……こっちのやつじゃないと」
「あ、そういうことだったのかー」
完全にクソガキどもの溜まり場と化した俺の部屋。
数日前に占拠されて以来、こいつらはまるで自分たちの部屋であるかのごとく、悠々とこの部屋で過ごしやがっているのだ。
うるさいのが増えたというのも厄介なことではあるが、それ以上にこの状況はやばいのだ。
というのも……
俺のベッドの枕の下には、エロ本が隠されているのだ。
2
油断していた。
エロい夢が見られるから、という話を部活仲間に聞かされ、エロ本を枕の下に入れて寝たのが昨晩のこと。
そのことをすっかり忘れたまま今に至り、こいつらがやってきてからそのことを思い出したのだ。
なんたる不覚。
もしこいつらにエロ本が見つかったら……
『うわ、キモ』
『おばさんに言ってこよーっと』
『へんたいさんだったんですね』
駄目だ駄目だ駄目だ。
なんとかしてこいつらを部屋の外に出し、エロ本を回収しなくては。
「あぁ~駄目だ、勝てなぃ」
未夜がベッドに倒れ込み、枕にぼすんと頭を乗せる。
「おわあああああ」
「な、なんだよ勇にぃ。急にでかい声出して」
「い、いや、なんでもない。そ、それよりお前ら外で遊ばねーのか」
「暑いからやだ」と眞昼が即答する。
お前、そんな肩まで出したノースリーブのシャツを着てこんがり日焼けしてるのに、外が嫌なのか。
「じゃ、じゃあ店でアイスでも食うか」
「さっき、おばさんにソフトクリームいただきました」
朝華が言う。
「あ、そ」
やるべきことはそうややこしくはない。エロ本を救出してかつ、それをこいつらに見つからないようにするのだ。
しかし、一手のミスが死に直結するこの状況。
さて、どうしたものか……
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