#02:マナ「color」

 動画冒頭から、「うわぁーーーーーすっごく現代日本女子ぃぃぃぃ!!!!!!」って感じ。

『協調性』とは名ばかりで、一歩でも、1mmでも自分の領域からはみ出そうものなら…その領域では息ができなくなってしまうから…。

 だからこそ、多様性…表現の自由が認められる一方でどんどんと個性いろが蝕まれていく現実。

 冒頭、今作の主人公マナのセリフは『どうする?』ばかり。

 自己主張は皆無で、友人2人にくっつく金魚の糞状態。

 でも、こういうのって多いと思うんですよね。


 途中、街中で1話に登場したハルカとすれ違います。

 マナ達3人は所謂流行の髪型でほぼ見分けがつかない状態。

 それに比べて、ハルカは身長も高く短髪でボーイッシュな印象。

 赤いリップをしているように見えるので、きっとニーナの店に行った後の時間軸なんでしょう。

 そんなハルカや、路上ライブをしている男性に対して友人達は『嫌悪』とまではいかないまでも、『普通じゃない人』と思っている様子。

 けれど、マナは少し興味があるみたい…?

 ※路上ライブの男性に関しては、『アキヒロ』の回で同様のシーンがあるため、マナの友人が反応しているのがどちらなのか判断が難しいですが、『アキヒロ』回ではマナが映っていないのとセリフが違ったため別時間軸だと思われる。


 目元をフードで隠した状態で音楽を発信しているマナ。

 本名とは別名義で何かを発信するのは、現代社会では何も特別なことではない。

 現に、私だって『桜木彩』はペンネームですしね。

 実家暮らしのマナにとって、音楽活動を家族に隠して続けるのは本当に大変だったと思う。

 一般家庭において防音設備なんてないし。

 だから、マナが発信する音源の声は小さいんですね…設定がリアルだなぁ…。

 ギターはコードで繋げば弦を弾く音だけしか聞こえないけど、人間の肉声はそうはいかないですからね。


 他と変わらないテンプレは評価してもらえるのに、本当に評価して欲しいは見てもらえない現実。

 そして、マナはニーナの店へと…。

 動画内で描かれている部分で、マナが初めて自分の意志で興味を持った金色のブレスレット。

 ニーナがマナの心の奥を覗くと、魔法で時間は過去の原宿へ…。

 そこでは、1人の女性が路上ライブをしていて。

 それは領域に縛られないマナの母親の姿が…。

 ニーナに背中を押されて、領域を出ることができたマナの個性いろは濃密で鮮やかに。


 現実世界に戻ったマナは、母親から靴を借りる。

 そして、1人領域の外へと飛び立つマナ。

 元々『マナ』として使用していた方のアカウントで、顔を隠すこともなく堂々と音楽を発信する。

 最後のシーン、友人からアカウントの乗っ取りを心配されるマナが、自分1人で前へと歩き出すシーン。

 周囲の人は立ち止まっているのに、マナだけが歩き出す演出すごくいいなって思いました。

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思案の沼に沈んでみる 桜木 彩 @aya_sakuragi

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