LIVEDOG
舞台観劇・円盤:013
公演期間 2019年9月21日~29日
脚本 守山カオリ
演出 林明寛
この作品に関しては、劇場での事と円盤での事を同時に書かせてください。
※当作品には、女性キャスト版・男性キャスト版があり、101番の親族が姉・兄という違いがあるんですが、今回の投稿は説明の都合上すべて『兄』と表記します。女性版では『姉』です。
以前、【悪因悪果】という舞台の感想を投稿した時にも書いたのですが、この【013】という作品は伏線回収にとても苦労しました。
そして、円盤が手元に届いてあることに気づいた時、まるで自分が犯罪者になった気分で、数日間立ち直れなかったです…。
今でも、機会があるなら101番に「私はあなたの事を誤解していたの。“SOS”に気づいてあげられなくてごめんなさい」って謝りたいくらい。
あれ…なんかこういう台詞TVのインタビューでよく見かけるやつ…ですね。
この作品は、未成年のリフォームスクール(更生施設)でのシーンと、101番の兄が結婚に向けて葛藤するシーンが、ほぼ同時進行で進んでいきます。
更生施設では入所する際に番号が割り振られ、以後その番号で呼び合う様になります。
番号付き同士は名前を教え合って、番号ではなく名前で呼び合ってます。
【BOYS】と【GIRL】で、共通の登場人物に関しては性別が違うので本名も違いますが、施設で割り振られる番号は同じです。
私は、約1年近く経った今でもこの作品に対して…101番に対してものすごく罪悪感を感じているし、謝罪したい…っていうのはさっきも書きましたね。
なんで観客である私がそんな風に感じたか、長くなりますけど書いていこうと思います。
唐突ですが、皆さんは“いじめ”という行為が発生した時、ざっくりと3種の存在がつくられるんですがわかりますか?
加害者・被害者・傍観者
この【013】という舞台では、“傍観者”のポジションについてメッセージを発信したいんだろうなっていうのがヒシヒシと伝わってくるんです。
ニュース番組等では問題視されにくいその存在の危険性について。
私は“被害者”の出す警鐘が、サイレンが解るんだと、気づくことが出来るんだと己惚れていました。
でも、数カ月経った今なら『俗にいう“いじめの被害者”だった私だけど、“SOS”を出そうとした事なんて無かったな』と。
そう気が付いたんですよ。
だから、“SOS”を出した経験が無いのだから、どんな風に出ているのか気が付くことが出来ないんですね…きっと。
なんで急にそんな話をしたかといいますとね…。
これは一応、台詞等で明確に表現等されていないので、あくまで『桜木彩が受け取った感情』なんですが、101番が数回出していた“症状”が“SOS”だったのかもしれない。
そんな風に思ったんです。
舞台中盤で、リフォーム・スクールの教官に兄が101番への対応をお願いするシーンがあります。
内容としては、『101番は、あまり過度な精神的ストレスや負荷がかかると、暴力的な行動をしてしまったり記憶があいまいになったりするから、あまり強く叱らないであげて欲しい』みたいな感じです。
私は、劇場で観劇している時にこのシーンは、クライマックスへの前振りなんだと思っていました。
ラストで、101番は兄の発言で精神的ショックを受けてしまい記憶喪失になってしまいます。
面会終了後部屋に戻ると、同室の名前も自分の名前もなにもかも忘れてしまっている状態です。
兄は、度々記憶障害を起こしてしまう101番のために“メモ”を書く習慣をつけさせていたんですよね。
出会った人物の名前も、その人がどんな人柄なのかも。
記憶障害がおこってしまい、わからなくなってしまった時困らないように。
勿論、同室3人の名前だってメモしてありました。
それでも、もう何もわからない……。
精神崩壊した状態で101番が願った“最後のメモ”を読んで、013番が行動を起こすんですがそこはまた別で書き…ます。
で、急に101番が記憶障害起こしてしまっても観客がついてこれるように、そして依頼した兄自らの発言で101番が記憶障害を起こしてしまうという…。
そんないくつもの伏線というか、前振りのためだと思ってたんですよ。
劇場から地上に出て、外の空気を吸った瞬間私は既にロス状態。
足りない…この舞台が足りない…。
『また、あの泥臭く温かい世界に触れていたい』
私が劇場で観劇したのは【BOY】の方だったので、数回再生した後【GIRL】を再生しました。
色々感じた部分は別で書きますが、視聴していて『ん?』って感じる、ほんの些細な違和感がありました。
それは、101番が押されたりして倒れる時、【GIRL】の方はまるでカエルが潰れるみたいに、べしゃっとなるんですよ。
『女性の方が軽いし、勢いよく押されたらこんな感じなのかな』
なんて思いつつ、だけどやっぱり少しオーバーだなって感じたんですよ。
で、もう一回意識しながら再生しました。
そうしたら、101番が言い間違いをするシーンが何回か出てくるんですが、その少し前に『否定』されている事がわかりました。
『101番が、記憶力が悪いから言い間違いをしているんじゃないってこと???』
私は101番を誤解していたってこと??
そこからは、もう憑りつかれたみたいに何回も再生して…。
そうしたら、あの言い間違いは“記憶障害”なんだと思えました。
舞台中で、一番最初に101番がする言い間違いは同室の名前の…はず。
教えてもらったばっかりの名前を、間違えてしまいます。
AとBを間違えるのではなく、スニークとモズの名前が混ざってしまい『スズーク』みたいな感じ。
多分なんですけど、この言い間違いすらも精神的負荷による記憶障害なんですよ…。
あ、どこかで見聞きした情報ではないので、あくまで私がそう解釈したっていうだけなんですけど。
最初は、『チョコが好き、ピーマンが嫌い』ぐらいの感覚の“嫌い”。
013番に嫌いと言われ、その少し後にさっきの言い間違いがあるんですけど…。
101番は最初から、その負荷の大きさに合わせた記憶障害が起こっていたんですよ。
それは、“記憶喪失”ではなく“言い間違い”として本能が反応しているんでしょう。
あの“言い間違い”は101番が条件反射で出している“SOS”だったんだなって。
序盤はそんな風に軽度の『否定』に対して言い間違いをしてしまいます。
で、教官と兄の会話。
私が、『前振り』だと思っていたあのシーンは、教官からしたら『前振り』なんですけど、我々観客からしたら『事後報告』だったんですよね…。
いやぁ…気が付かなかったです。
私が、101番に対して謝りたいと思っているというのはそういう事なんです。
これ、『観客というのはそもそも、舞台に干渉できないのだから桜木がそんな風に負い目を感じる必要はないんじゃない?』って思ってくださる方もいらっしゃるかもしれない。
そうですよね…。
だって、私が舞台に干渉して101番を守ってあげる事なんてできないですもん。
私は、もう社会人なので俗にいう“いじめ”という現場に遭遇する機会は減ったでしょう。
でも、そういう些細な“SOS”にも気づける
あぁ…私はこんなにも気が付けない無能だったんだなと。
まぁ、そんなこんなで私は観劇から約1年以上経った今でも101番に対して罪の意識を持つようになってしまったんです。
いつか、私が“傍観者”のポジションになった時に見逃さないようにする戒めの意味も込めて。
長々と書いてきましたが、この舞台については【BOY】と【GIRL】の考察とか感想は、それぞれ書きたい事があるので極力…が、頑張って投稿します。
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