舞台関連

株式会社SEP

舞台:悪因悪果

公演期間:2020年3月4日~8日 

演出・脚本:林明寛


 この舞台については、取り急ぎどうしても書く必要がありまして…。

 それは、もう少ししたら円盤が届くからです。

『円盤が届くなら、それを待ってからにすれば?』

 …ですよね。

 でも、円盤が届く前に書く理由があるんです。

 それは、私がこの舞台円盤収録日である千秋楽を観劇していない事。

 そして、1番の理由はこの舞台が毎回少しづつ内容や演出が変化しているからです。

 つまり、円盤に収録されている公演は初見と言っても過言ではありません。


 この舞台は、数回観劇したのですが複数回観劇しようと思ったきっかけは、今回の林さんが昨年演出した『013』という舞台の考察に私が苦戦した経験からでした。

 この作品に関しては書きたいこといっぱいあるのでまた後日…。

 1回観劇しただけでは、解釈厨として満足出来なかったので、この『悪因悪果』も複数回観劇しようと決めました。

 ですが、いざ観劇してみたら内容が毎回少しづつ変わるもんだから、「え…あれ?ここのシーンって……あれ??」の繰り返しでした(笑)

 毎公演試行錯誤しながらだったみたいです。

 一般的に、内容が変わると言ったら日替わり演出や、キャストさんのアドリブだと思うんですが……。

 この作品の場合は、ラストで登場人物の死に方が変わったりするんですよ。

 そんな経験初めてすぎて…なので、先程も言った通り円盤はまだ私の知らない、見た事のない『悪因悪果』の可能性が高いのです。


 劇場に足を踏み入れた時の感想としては、舞台セットが無い事に驚きました。

 幕は上がった状態で、奥のスクリーンには桜の映像、そしてBGMが流れていました。

 小さな劇場だからこその臨場感と、キャストさん達の圧が……圧がただただ凄かったです。

 前方壁側の席に座った時、信勝が過去の幻影にうなされるシーンがあるのですが、袖にはけた数秒間も荒い息と嗚咽が舞台袖から聴こえる日もありました。


 この物語には、白姫という女の子が登場するんですけどね。

 これがまた……ものすごく可愛いんですよ。

 最初、観劇する前は『今回は子役ちゃんもいるんだなぁ』くらいにしか思ってなかったんですけど、あまりにも可愛くて。

 孫を見守る感覚で、一生懸命演技してる姿に泣きそうになっちゃって…。

 ダブルキャストだったんですが、最後のあいさつで一生懸命喋ってる姿を他のキャストさん達が見守っている光景が…尊かったです。

 途中、お母さんの紅姫とあやとりするシーンがあるんですけどね、そこで色んな技を披露してくれるんですよ。

 円盤に映ってるかなぁ……。

 でも、そのシーンはお父さん達が隣で大人の会話をしていて、そっちがメインなのでオフマイクなんです…。

 千秋楽近くになると、あやとり紐を使った手品みたいなのも披露してくれて…それが成功した時、紅姫がとても驚いて、そして白姫の事を褒めるんです(サイレントで)

 私も、女性陣側の席だった時はあやとりをガン見して、成功したら心の中で拍手喝采でした。

 とても重い内容だからこそ、白姫ちゃんの笑顔が救いなのです。


 さて、この作品はざっくり説明するなら普段と身分が変わる事で、今まで行ってきた行為を見つめ直し更生・改心していく内容なのですが…。

 簡単に言ってしまえば、兄弟の確執が村ひとつ滅ぼしてしまう。

 作品タイトルの通り、悪い事を行っていたら悪い結果が待っている。

 公演期間中、観劇した方達の間で『幾つも連鎖する悪因の内、どの悪因を止めれば悲劇が起こらなかったのか』という論点が生まれるぐらい。

 作品で見る事のできる部分だけで言えば、権力を振りかざし村人の命を軽く扱う光永の日頃の行いなのかもしれません。

 現に、そんな兄の背中を見て育った心の優しい信勝も、後に兄と同じ道を進んでしまいます。

『そんなに悪い人なら、光永が絶対悪なのでは?』

 しかし、そんな簡単な話ではないんです。

 光永が、そんな横暴な人柄になってしまったのは、悪因ではなく悪果だからです。

 しかもそれは、光永の悪因ではありますが、光永の親族(主に母君)の悪因がもたらした悪果なのです。

 じゃあ、その母君がこの作品においての悪の根本なのか…。

 それも違う気がするんです。

 母君自身も、きっと様々な圧に襲われていただろうし…。

 この時代背景を考えると、世間体が大事になってきますし、止めどころが見つからないんです。

 だからこそ、私は苦しみました。

 なぜなら、可能であればこの悲劇を避けたい。

 でも、その止めどころがわからない自分達の無力さを知るわけです。

 別作品になってしまいますが、『ひぐらしのなく頃に』で惨劇を止めるために何度も同じ時をループさせて、惨劇のない世界を模索する梨花ちゃんと羽入の気持ちがほんの少しわかった気分。

 みんなに笑っていてほしいから…。


 あれ…気づいたらもう凄い文字数になってますが、もう止められないので登場人物については『悪因悪果(登場人物編)』で書いていきます。


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