第13話

私は確信する。そして歓喜した。

彼は、朱音のことを、朱音の記憶を既に喪失しているのだ。


これで、彼は…。


その時だった。


「う、ぐ、ぐあ、ああ」

彼が背後から絶叫する。

私は振り向きそうになる体を寸でで押さえる。


どうなっている?


瞬間、私の脳裏に浮かんだその疑問。

私のこめかみに一筋の汗が流れる。

しかし、彼の叫びは止まらない。


「ケッコン、朱…真波、と。

大学で、一緒。妹…いな、ぐ、うぐ、ぐあああ」

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