第113話「相談フェイズ」

「う、うん。わかった」


 と素直に聞き入れてくれたのがティア。


「ええ。善処します」


 と善処する気がなさそうな答えをよこしたのがサラだ。

 こういうところで二人の性格は対照的だなと感じる。


 正反対のほうが友達として付き合っていくのは上手くいくっていうが、彼女たちもそうなんだろうか。


「第二階層から連携を入れたいわけだが……どうしようか?」


 と俺はカレンに相談する。

 

「素直にやりやすさを追求するならあなたとジーナさん、我々三人でわけるべきですが、それだと五人でやる意味がないですしね」


 カレンは真面目な顔で言って悩む。

 まったく彼女と同意見だ。


 俺とジーナは彼女が考えているほど連携プレイがしっかりしてるわけじゃないと思うが、他の三人と比べればましだろう。


「俺とあなた、ジーナと他二人という組み合わせはどうだろうか?」


 実のところ他意はない。


 前衛と後衛の組み合わせで考えた場合、最もリスクが少ない組み合わせがこれになると思っただけだ。


 他には俺とティア、サラとジーナ、カレンが遊撃というパターンもあるが、これだと俺とティアのペアに不安が残る。


 そもそもティアが俺とジーナのどちらかと二人でやることを、カレンやサラが認めてくれるのかという懸念もあった。

 

「妥当だと思います」


 カレンはカレンで俺に対する敬語をやめない。

 彼女の立場だと難しいだろうな、そもそも彼女は同級生でも何でもないし。


「ただ、五人まとまって行動することは続けたほうがいいと思いますが」


 カレンはきれいな瞳でじっと見つめる。


「もちろんだ。いくら敵のレベルが高くないからと言って、未知のダンジョンであえて戦力を分散するほど、俺は馬鹿じゃないつもりだ」


 俺とカレンのペアはまだしも、ジーナたち三人は立ち回り次第で崩壊するリスクはあるからな。


 三人ともそんな馬鹿じゃないとは思うが。

 カレンたちは満足したように小さくうなずく。


 彼女たちだって分断はさせられたくなかったってことだろうな。


 俺だってジーナと別行動とるつもりはサラサラないんだが、そのあたりはまだわかりづらいのか。


「ジーナはどうだ?」

 

 黙って見守っていた侍女に一応聞いてみる。


「異論はありません」


 彼女は淡々と答えた。

 予定調和な感じがしたが、これはこれでかまわないだろう。


「では階段をのぼってから続きを相談しましょうか」


 というカレンの言葉に俺たち四人はうなずいた。

 カレン、サラ、ティア、俺、ジーナという順番にのぼる。


 最初と最後は安全確保のためだから、前衛がやったほうがいいということだろう。


 特に打ち合わせをしなくてもカレンとジーナはこの辺できるようだ。

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