第62話「雷電の祝福」

 ストーンゴーレムを倒したことで開いたドアの先に進み、白い光を放っている魔法陣の上に乗って地上へ飛ばされる。


 そしてブローチでスキルをたしかめた。


「称号:雷電の祝福。スキル:雷属性ダメージアップ」


 効果はどちらも火のほこらでゲットしたものの雷属性版と言える。

 これで二つの属性が強化できたわけだ。


 強敵は火属性と雷属性の使い手がけっこういるので、かなり楽になってくれるだろう。


 特に俺の前衛として働くジーナが受ける恩恵はかなりデカいはずだ。

 

「よし、一度城に帰ろう」


 と彼女に指示を出す。


 このダンジョンは低階層踏破ボーナスと、サンダーエレメント以外に旨味はほとんどない。


 ゴーレムの設計図は一枚くらいあったほうがいいかもしれないが、ほしい分はすでに持っているからな。


 火のほこらのほうが経験値効率はいいし、ここはしばらく(場合によっては二度度)来なくてもかまわないだろう。


 次に行くダンジョンは「セイレーンの沼」だと決めている。 


 ここで「水流の祝福」を手に入れたら、今の俺が行ける帝国ダンジョンの低レベル踏破ボーナスはコンプリートだ。


 城に戻ったところでジーナに声をかける。


「ジーナ、夕食は手抜きでかまわないからお前も休んだらどうだ?」


 俺もきついが、この子だってけっこう疲れがたまってきているはずだった。


 軟弱な魔法使いの何倍もタフだが、だからと言って休みを与えなくていいわけじゃない。


「あるじ様?」


 ジーナは突然のことに困惑しているようだった。

 こりゃただ休めと言っても納得してくれないかもしれない。


 忠誠心を考慮しつつ説得しなきゃいけないかな。


「時には休むことも重要だと思うんだ。いい仕事をするために」


「……私の仕事がそんなに至らないのでしょうか?」


 言葉を選んでつもりだったが、ジーナは不安そうに顔をくもらせる。

 しまった、思っていた以上に難しいな。


「いや、お前は最高によくやってくれているよ」


 とりあえず首を振って、現在の彼女に不満があることを否定する。

 

「だからこそたまには休憩を入れようと思うんだ。それともお前はどれだけ疲れていても、常に万全な時と同じ仕事ができるのか?」


 そしてちょっと意地の悪い質問をした。


「……そうありたいと心掛けていますが、現状の私ができるのかと言うと、否定するしかありません」


 狙い通り、ジーナは悔しそうな顔をしながら答える。


 真面目で誠実な彼女だからこそ、どんな時でも100%の力を発揮できるはずがないと認めると思っていた。

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