第46話「『怨念隠形』と『死者の呼び声』」
ジーナが見事霊体ダメージアップのスキルを会得したところで俺たちは帰還し、次の日を迎える。
隠しスキルと隠しアイテムを手にするために最下層を踏破する必要はないんだが、それでも第三階層には行かないといけない。
疲労を回復させてから挑戦したほうが好ましいはずだった。
『怨念隠形』は第三階層に到達すれば会得でき、『死者の呼び声』は第三階層の左隅に行けばいい。
問題は『過去の栄光』で、こいつは第三階層で発見できる宝箱からランダムで入手できるというダメ仕様だ。
今日一日でコンプリートできるのが理想なんだが、達成できないとすればこいつのせいだろうな。
できればこいつのために時間を使いたいという計算はある。
「第三階層まではなるべく早く行って、そこから時間を使いたい」
入り口でジーナに予定を告げた。
「かしこまりました。敵が少ないルートを探しますか? それとも戦闘が多くとも最短で下に降りるルートにいたしますか?」
ジーナはうなずきながら具体的な方針を聞いてくる。
「最短で降りるルートだ」
敵は強くないしポーションも持ってきた。
戦闘してポーションを飲むだけならそこまで時間を消費しないだろう。
俺もそろそろアンデッド系と戦っておきたいという理由もあるんだが。
「はっ」
ジーナは返事をして、まっすぐ左の道を選ぶ。
うん、『死者の呼び声』を覚えるためにはこっちのルートがいい。
知っているはずがないけど、いい判断だと感心する。
ゾンビを一匹、スケルトンを二匹仕留めたところで第二階層に降りた。
こちらの世界に来て初めて来た場所だが、やっぱり既視感はあるなって思うだけで特に感慨はない。
原作通りならここもスケルトン、ゾンビ、ゴーストしか出ないエリアだ。
スケルトンを三匹、ゾンビとゴーストを一匹倒して第三階層へとおりる。
そして俺が持っているブローチが振動した。
「『怨念隠形』を覚えたな」
念のため確認してからジーナに告げる。
「おめでとうございます」
彼女は俺にお祝いを言う。
「ああ、目的の一つを達成だな」
そう答えたから彼女に指示を出す。
「ここは右手に行ってみよう」
この通路をまっすぐ行くことで、『死者の呼び声』をゲットできるだろう。
「はい」
ジーナは特に疑うことなく、指示に従ってまっすぐ進む。
そして壁へと行き当たる。
そこには真っ黒なオーブに包まれた魔法使いのがい骨が座っていた。
これの目の前に立ってみるとブローチが振動する。
「『死者の呼び声』はゲットできたな」
これで周囲の怨念を自分の魔力に変換できるので、魔力ポーションの節約が可能だ。
怨念が満ちていないダンジョンだと効率は下がってしまうが、ないよりはマシだろう。
「おめでとうございます」
ジーナが再び祝福してくれる。
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