第40話「羽のペンダントと神々」
不意打ちされたならともかく、存在に気づいた状況で戦闘に入ればロックバードはジーナの敵じゃない。
先ほどの個体と同じ要領でジーナは難なく仕留めてしまった。
そしてドロップアイテムを回収して俺に報告する。
「あるじ様、羽とかぎ爪、肉がドロップしました」
「羽以外は売ってくれ」
ロックバードのかぎ爪は武器の素材になるけど、使うのは格闘家だ。
俺やジーナには必要ないだろう。
「二羽倒して二枚羽がドロップするなんて運がいいな」
まだアイテムドロップ率上昇のスキル・称号はとれてないので、単純に乱数の問題のはずだが。
「おめでとうございます。あるじ様はきっとカリ・ソポスの祝福があるのでしょう」
ジーナは微笑みながら言った。
カリ・ソポスはこの世界で魔法の神として信仰されている存在だ。
こういう時に物を言うのは幸運の神だと思うんだが、それは前世の感覚なんだろうなぁ。
「俺はどうだかわからないが、ジーナはきっとエル・アネモスの加護があるだろう」
と言った。
エル・アネモスは風の神で、ローグ系の者の多くが信仰している。
盗賊の神や嵐の神と間違えられやすいが、まったく別の存在だ。
彼女が加護を受けているか俺にはわからないが、これはローグ系の職業についている者に対する最大級の賞賛になる。
「ありがとうございます」
現にジーナはとてもうれしそうに微笑んだ。
彼女もエル・アネモスを信仰しているのだろう。
「目的を達成したので本日は帰還ということでよいですか?」
ジーナの問いにうなずいた。
「ああ。城に戻ったらさっそく錬成したいな」
問題は誰に錬成依頼を出すかだ。
できれば兄弟には知られたくないが、城関係者以外に俺のコネなんてない。
……いや、別に知られてもいいのか。
知られたらまずいのは、今の俺やジーナならもうロイド兄くらいなら追い落としを狙える力があるということだけ。
遊びに行く移動時間を減らすためだと思わせたら、俺を馬鹿にして笑って終わるだろう。
周囲が俺に油断している間に力をつけるという作戦に影響が出ないならかまわない。
「城の錬成士から当たればいい」
馬に乗りながらでも会話できるようになったのは成長の証だろう。
城の錬成士は国に仕えている役人だけに、俺でも問題なく利用できる。
ジーナが俺の代理として行っても平気だろう。
「かしこまりました」
とジーナは返事した。
多少は苦しい俺とは違って、彼女は平然としている。
慣れたら、レベルがもっとあがればきっと俺もこの領域に到達できるだろう。
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