第22話「ウインドショット」
次の日もショイサの洞窟へ来た。
「本日はどちらに?」
入り口に入ったところでジーナに聞かれる。
「まずはコボルトだ」
余裕があるうちにまずコボルトで稼いで、次いでゴブリンに行こう。
一時間に1しか回復しないならポーション頼みになるし、コボルト相手はまだ危険がある。
いつものようにコボルトたちを狩り、ドロップアイテムを『アセット』に放り込み、そして敵の数が増えると移動してゴブリンへと標的を変えた。
次の日、同じことをくり返すことでレベル5に到達したのは、昼飯を食べる前だった。
「レベルアップか。やっぱり戦いに参加できるとあがりやすいな」
思ったより二日くらい早いのはうれしい誤算だ。
こちらを黙って見て指示を待つジーナに言う。
「予定変更。城に戻って魔法を覚えるぞ」
「御意」
ジーナはうなずいて帰還の準備をはじめた。
ウインドショットを覚えれば、おそらくコボルトを一発で倒せる。
しかも原作と同じ時なら消費する魔力は2なのだ。
おまけにレベルアップした恩恵で魔力が11になる。
ささやかながら俺にとっては大きな前進だ。
ウインドショットを五発撃てるようになったなら、ちょっとくらいは無理して勧めるだろう。
いきなりは危険だからまずは実験してみたほうがいいかな?
城に戻ったところで図書館には行かず、自分の部屋に戻る。
レベル5に戻った時に備えてすでに魔法書は借りておいたのだ。
事前に読んでレベルアップしても魔法は覚えず、レベルアップ後に読まないと効果が出ないのはちょっと面倒くさい。
ゲーム準拠のルールだとこういう時は融通がきかないんだなと学ぶ。
魔法を読み終えたところでそばにひかえるジーナに言う。
「明日は少しだけ無理をして、第二階層に行ってみようか。ダメなら撤退だ」
「御意」
ジーナは反対しなかった。
ショイサの洞窟、踏破する推奨レベルが5だから俺が言ったのは別に無茶じゃないんだよな。
もっとも推奨パーティー人数は四人以上だったりする。
二人以下で達成すれば特殊なスキルが解放されるので、挑戦する価値はあるだろう。
……ゲームにはなかったダンジョンには適用されない、なんてことがなければの話だが。
高難易度のダンジョンでそんな結果になったりしたら立ち直れない自信があるので、初心者用ダンジョンでやっておこう。
「明日はいつもより少し早めに出発したいが、いいか?」
上手くいくなら長い一日になるかもしれないからな。
「かしこまりました、おともいたします」
ジーナは大きくうなずき、その瞳には何やら決意を燃やしている。
彼女なりに何かを感じ取ったんだろうか。
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