第9話
「とにかく、私は彼を気持ちよくさせたいの。出させたいの。だから私は彼といるの。話は終わり」
PAの眼が、乙女の目からこわい目に変わった。
「喋ったら、ころすから」
「はい」
喋っても誰も信じねえよ。
「次はあなたの番」
「わたしの?」
「喋ってよ。生い立ちとか、仕事のこととか」
「ええと、そんなに何か特別なことはないですけど」
「いいから。はやく」
断れない雰囲気。ノンアルのビールを、呷った。
「
ここまでで一息。息継ぎ。
「CDとかで聴く音楽が好きです。顔見なくても色々妄想できるから。仕事はレーベルの新人発掘をしています。眼を見れば性格が分かるし音楽もたくさん聴いたので、売れる人間は眼と耳で分かります」
ノンアルを再び呷る。くそっ。
「大学在学しながらバイトで2年、正式にレーベルに就職してから3年、いろんなバンドを発掘してきました。業界では歩きの巫女として伝説になっています。終わりです」
なんて少ないんだ私の人生。漫画なら3コマぐらいの情報量しかない。文字数の多い漫画なら1コマに収まるかもしれない。
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