第3話

「あの」


「あっ、あなたは」


 ドラムが大げさに反応している。


「歩きの巫女」


 歩きの巫女。聞いたことがある。


「漫画のキャラか」


 コスプレにしては、普通の服じゃないか。歩きやすい靴に動きやすい軽装。アクセサリや時計も外してある。ライヴの基本が徹底して守られている姿。


「いや違えよ。てか何の漫画だよ」


「自分の国の歴史も知らんのか」


「忍者漫画、ですよね。読みました私」


 軽装の女。話しかけてくる。


「いやそうじゃなくて」


 ドラムが遮る。


「どうも。こいつのサポートのドラムです。話は俺が受けます。お前は休んだほうがいい。帰れ。飯は作ってあるから」


「助かる」


 飯を食ったら、忍者漫画探して読もうかな。

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