第37話 そんなこと言われたら断れないよ。


 マリーメリィ商会に着いた。

 昨日と同じように外にテントが並んでいる。


「どこにメリィちゃんいるんだろう?いつもならカウンターに行くんだけどなあ。」


 マリーメリィ商会の建物を眺める。

 ガールダのせいでお店が半壊しているので現在修復作業をしている。

 魔法でポン!とはいかないみたい。


「探してみるしかないか。」


 ジョンさんとかいないかな?

 あの人ならメリィちゃんの居場所を把握している気がする。

 仕事のできる執事さんて感じだしね!


 商品を見ながらテントを歩く。

 んー。防犯用の魔道具とかはないかあ。

 他の人達はどうしてるんだろう。

 魔法とかかな?

 青のスクロールであればいいんだけどなあ。

 職業がニートなのがつらすぎる。


 しばらく商品を見ていると、接客をしているメリィちゃんを見つけた。


「あっメリィちゃん!きたよー!」

「よくきたニャ!マリーのお見舞いにきてくれたのかニャ?」

「うん!あと防犯系の魔道具を探してて。」

「ニャ?なんかあったニャ?」


 宿屋での襲撃のことをメリィちゃんに話した。

 メリィちゃんは険しい表情をして考え込む。


「本当はマナー違反なんだけど、チカは緑のスクロールは使えるかニャ?」

「青のスクロールしか使えないんだ...。」

「にゃるほどニャ。少し時間はかかるけど王都から取り寄せればあるにはあるニャ。」

「おー!」

「ただ問題もあるニャ。」

「ん?なに?」

「その魔道具っていうのがニャ。ある一定の範囲に誰かが侵入すると音がなって知らせてくれる物なんだけどニャ。」


 それでも十分助かる。

 なにも問題なさそうだ。


「大音量ですごくうるさいニャ。それにマイちゃんの宿屋の部屋の大きさだと部屋の前の廊下を誰か通るたびに範囲に引っかかるニャ。」


 前言撤回。

 それは大問題だ。

 マイちゃんの家族と他のお客さんに迷惑がかかっちゃう。


「または護衛雇うとか、家を買って魔道具を設置するとかはどうかニャ?」

「んー。」


 寝るたびに護衛っていうのも落ち着かないから却下だね。


「家って私で買えるのかな?難しそうなら借りるとかでもいいんだけど。」

「私がなんとかするニャ!」

「いいの?」

「もちろんニャ!チカは大事な友達だからニャ!買うのと借りるのとはどっちがいいかニャ?」


 どうしようかな。

 この街にずっといるなら買ってもいいけど、他の街にも行ってみたいなあ。


「悩んでるみたいだニャ!」

「あっごめんね!」

「んー。あっそうだニャ!!」


 メリィちゃんが何かを思いついたように手をポンっ!と叩いた。


「私達の家にきたらいいニャ!」

「ええっ!いいの?」

「もちろんニャ!部屋も余ってるし気にすることないニャ!家を買いたくなったら買えばいいしニャ。」

「じゃあお世話になります。」

「ニャハハ!そんなかしこまらないでいいニャ!好きなだけいたらいいのニャ!」


 なんかいいなこうゆうの。

 元の世界じゃ考えられないよ。


「今日から一緒に住むニャ?」

「明日からでもいいかな?マイちゃん達にお礼もいいたいし。」

「了解ニャ!マリーのお見舞いも明日にするといいニャ。じゃあ今日はジョン爺を護衛につけるニャ!」

「ええっ!?」

「私がそうしたいのニャ...。もしチカになにかあったら私は死ぬまで後悔するニャ。私のわがままを聞いてくれないかニャ?」

「ありがと。じゃあお願い。」


 あたたかいなあ。

 そんなこと言われたら断れないよ。



「じゃあジョン爺まかせたニャ!」

「お嬢様かしこまりました。この命にかえてでもチカ様をお守り致します。」


 命にかえないでいいよ?

 これは後でジョンさんとお話しをしないとだ。


 明日また改めてマリーメリィ商会に来ること約束してジョンさんと宿屋に戻った。

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