第36話 それでも私はやっていない。


 翌朝。

 マイちゃんの声で目が覚める。


「おねえちゃーん!もう朝だよぉー!」


 ぐっすり寝てたみたい。

 疲れてたのかな?

 ベットから起き上がる。


「ふへぇっ!?」


 なんで起きたら部屋が血塗れなの!?

 慌てて部屋の中を確認する。

 床は真っ赤で転がるたくさんの足。

 青褪めた顔のおじさん達が腕を縛られ口を塞がれて、怯えたような目つきで私を見つめている。

 これ私捕まる?


 と、とりあえず話を聞いてみるかな。

 ゆっくりベットから降りる。

 慎重におじさん達に近づく。

 ん?

 私が近づくにつれておじさん達の顔は青褪めていく。

 目を見開き身体がガタガタと激しく震える。

 困惑しながら口を塞いでる布を外す


『ひっ...!!化け物...。』


 失礼な!

 私のどこが化け物だ。

 ネコって呼ばれたほうがまだマシだよ。


 トントン‼︎


 突然部屋のドアを叩く音がした。

 ノックの音に驚いて身体がビクッ!と震える。

 ドアの方を振り返る。


「おねえちゃーん?まだ寝てるの?」

「あっ!ち、ちょっと待って!!」


 マイちゃんに見せるわけにはいかない。

 こんなのトラウマになりかねないよ!

 マイちゃんが可愛らしい笑顔で部屋のドアをあけて部屋にはいってきた。

 間に合わなかった。


「朝だよぉ!!食事どうす.....る?」


 あっ。マイちゃんが固まった。

 マイちゃんと目が合う。


「マ、マイちゃん?」

「おねえちゃん...。やっちゃったの?」

「違うんだよ!」


 パタン...。


 マイちゃんは凍りついた表情のままゆっくりと部屋のドアを閉めた。


「ちょっ!マイちゃん!?」


 慌ててマイちゃんの後を追いかける。

 違うんだよ!

 私は無実なんだよ!



 あのあとマイちゃんが呼んでくれた街の警備隊のおじさんに男達を引き取ってもらった。

 あっマイちゃん誤解は解けたよ?


「ありゃだめだ。酷く怯えていて会話にならねえ。お嬢ちゃんを襲うつもりで夜中に忍びこんだってことは分かるんだけどなあ。」

「そうなんだ。」


 警備隊のおじさんは困った表情で頭を掻いた。

 なにそれこわっ!

 夜中に襲われかけて怯えたいのはこっちだよ!

 でも誰が助けてくれたんだろう?

 全く気づかなかった。

 物音とかで目が覚めるタイプなんだけどなあ。


「まあ奴等が落ち着いてなにか分かったらまたくるよ。」

「ありがと!」


 警備隊のおじさんは宿をでて行った。

 でも困ったなあ。

 寝てる時に襲われたら何もできない。

 なにか対策を考えないと寝てられないよ...。


 カウンターでマイちゃんのお母さんに事情を話して部屋を変えてもらった。

 部屋のドアを開けて中に入りベットに座る。

 先程の襲撃事件について考える。


「あの人達は何のために私を?」


 思い当たるのはギルド関連ぐらいかな。

 口封じとか?

 でも今更そんなことしてもあまり意味ないよね。他の冒険者からマイちゃんが話を聞いたぐらいだ。もうすでに相当噂が広まってる可能性が高い。

 んー。分からない。

 メリィちゃんに襲撃のこと相談してみようかな。


 ベットから降りて部屋をでる。

 そのままマリーメリィ商会に向かった。

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