第35話 襲撃

 マリーメリィ商会に戻ると、ジョンさんがカウンターで出迎えてくれた。


「おかえりなさいませ。チカ様。解体と査定が終わりました。ご確認ください」

「ただいま。ジョンさんありがと。じゃあ半分もらうね!」


 カウンターからガルーダの素材とお金を半分手に取ってバックにしまう。


「半分でございますか?」

「うん! もう半分はマリーちゃんに渡してもらっていい?」

「ガルーダの素材までいいのかニャ!?」

「もちろんだよ。マリーちゃんと私はガルーダと戦ったパーティだもん。二人で倒したんだよ」

「ありがとニャ......。マリーにも伝えておくニャ!きっと喜ぶニャ!」

「うん。私も日を改めてお見舞いにいくね!」

「待ってるニャ!マリーメリィ商会に来てくれたら私たちの家まで案内するニャ!」


 二人の家に行くの楽しみだな。凄い豪邸だったりして。メイドさんとかいるかな?


 私は二人にお礼をいってからマリーメリィ商会をでた。


 なんだか色々あって疲れたなあ。お腹も減ったし宿に帰ろっかな。



◆◇◆◇


 宿に入ると受付にマイちゃんが座ってた。


「あっ。おねえちゃん! おかえりなさい!」

「まいちゃん。ただいま」


 マイちゃんは私に気づくと、嬉しそうに笑いながら椅子から降りて抱きついてきた。


「わわっ! 急にどうしたの!」

「おねえちゃん! おかあさんと街をガルーダから守ってくれてありがとお!!」

「えっ?」

「あれ? ちがうのー?」


 マイちゃんは可愛くコテンッと首を横にかしげる。


 違わない。けどそうじゃない。......なんでマイちゃんが知ってるの!?


「えーと。誰から聞いたの?」

「んーとね! うちに泊まってくれてる冒険者のおねえちゃん!」


 私は冒険者ギルドでの会話を思い出した。

 

 うん......。口止めしてないね。DQNマスターの話を聞いて私が内心で同意しただけだ。口止めしたつもりになってたよ......。


「おねえちゃん?」

「あっごめんね! でもそのことは内緒にしてほしいなー。だめかな?」

「うん! いいよぉ!」

「ありがと!」

「あっ! おねえちゃんお腹減ってない?」

「お腹へったあ! 食事お願いしても大丈夫かな?」

「うん! 座って待っててね!」


 食堂の椅子に座って少し待ってるとマイちゃんが料理を運んできてくれた。


 サラダと美味しそうなお肉。あとはクリームパスタなのかなこれ? こっちにもパスタってあるんだ。


「まだまだ持ってくるねー!!」


 そう言うと、マイちゃんはすぐ厨房まで走っていった。


 えっ? もう十分だよ!? 


 マイちゃんは厨房から戻ってくると、両手に持っていたスープとムニエルのような魚料理をテーブルに並べていく。


「まだまだあるよぉー!!」

「ち、ちょっと待って! 私そんなに食べられないよ!?」


 マイちゃんはまたすぐ厨房に戻ろうとしたので慌ててとめた。

 

 もちろんテーブルに並んだ料理は頑張って残さず食べました。ホントだよ?



 夕食を食べ終わった後、お風呂で疲れを癒してから部屋にもどった。


「少し早いけど今日は寝ようかな」


 ガルーダと戦ったりギルドで揉め事に巻き込まれたりして肉体的にも精神的にも疲れたよ。

 私凄く頑張ってたよ。

 自分で自分を褒めてあげよう!


 ...はあ。馬鹿やってないで寝よ。


 明日はマリーちゃんのお見舞いに行こうかな?

 部屋の明かりを消してベットに横になった。

 おやすみなさい。








 〈おい...。この部屋か?〉

 〈ああ。間違いない。ドアを少し開けて覗いてみたが寝てるようだ。〉

 〈ターゲットは猫耳を着たまだ幼い感じの女だ。間違いないか?〉

 〈ああ。寝てる間に終わらせよう。〉


 深夜。辺りも寝静まった頃。

 四人の男達がチカの部屋に入った。

 ゆっくりとチカの寝ているベットに近づく。

 慎重にチカを覗き込んで寝ていることを確認した。


 〈わりいな。お嬢ちゃん。〉


 男が短剣を構えた。

 チカの胸の中心に向かって短剣を振り下ろした。



 ──ガシャーン!



 〈なっ!?〉

 〈おい...。いまあの槍どこから出てきた...?〉


 振り下ろした短剣の刃が漆黒の槍によって弾かれる。

 猫耳の少女はスッと目を開いた。

 漆黒の槍を握り一瞬でベットの上に立ち上がる。

 猫耳の少女はニヤリと笑みを浮かべながら鋭い目つきで男達を見つめる。


 次の瞬間。

 猫耳の少女の姿は目の前から消えた。


 ──シャキーン!!


 〈がふっ!!ば、ばかな...。〉

 〈ぐふっ...!い、いつの間に...〉


 男達は四人同時に足を切断され地面に転がる。誰一人倒れるまで斬られたことにすら気づかなかった。

 恐怖で身体が震える。


 〈な、なんだ..。この化け物は..!〉



 猫耳の少女は地面に転がる男達を冷たい視線で見下ろした。

 口元をニヤリと歪める。


『ふふふっ...。アハハハハッ!!この雑魚どもがあぁ!!に手をだしてんじゃねえよ!!』

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