第32話 謀略


 マリーメリィ商会についた。

 建物の修繕をしながら、外には瓦礫を避けるようにテントが張られている。

 テントの中には商品が並べられおり、たくさんのお客さんが商品を見ている。 


 まずは二人で倉庫に向かった。

 倉庫は無事だったので中に入る。

 バックから魔物を取り出してテーブルに並べていく。


「これで全部かな。」

「了解ニャ!じゃあジョン爺あとはお願いするニャ!」

「かしこまりました。お嬢様。」

「あっガルーダの素材はどうするニャ?」

「どうするって?」

「ガルーダはAランクの魔物にゃ。なかなか手に入る素材じゃないにゃ。爪とか羽毛を装備の素材にすることもできるニャ!」

「じゃあ爪と羽毛の素材だけ残して買い取ってもらっていいかな?」


「かしこまりました。チカ様。」

「じゃあチカは一緒にきてほしいニャ!」



 倉庫をでてマリーメリィ商会の応接室に案内された。

 部屋の中に入るとソファーと小さめのテーブルが置かれている。

 ソファーに座る。

 フカフカだ。

 とても座り心地がいい。

 メリィちゃんも向かい側のソファーに座った。


「それで話したいことってなに??」

「冒険者ギルドの件ニャ。」

「なにかあったの?」

「冒険者が倒したガルーダをマリーメリィ商会が横取りした。ガールダの素材の売り上げをよこせって騒いでるニャ。」


 確かに冒険者が倒してる。

 ギルドカードは受け取ったしね。

 草原にいた冒険者達から横取りなんてしてないけど。


「はあ...。まあ騒いでるのはギルドマスターなんだけどニャ。」


 メリィちゃんは呆れた表情で溜息をつく。

 またあのDQNか!

 もういい加減にしてほしいよ。


「いま王都のギルドから冒険者達とギルド統括のお偉いさんがきてるニャ。」

「なんでまた?」

「救援要請を受けて王都からガルーダを討伐できるレベルの冒険者が救援にきたみたいニャ。ギルドの統括は今回の事情聴取に来たみたいだニャ。」

「事情聴取?」

「調査隊を先に派遣して異常な規模のシルバーウルフ達の状況を把握してから行動していればガルーダの街への強襲もなかったからニャ。」

「なるほど。」

「そこにきて高ランクの冒険者やギルドマスター達が西の草原に逃げてたのを街の人が何人も見てるニャ。街としても今のままのギルドに今後支援はしないだろうニャ。」


 ふむ。

 なんでそれで冒険者が倒したガルーダを横取りされたってことになるんだろ?


「アイツは責任逃れがしたいニャ。」

「えっ?」

「指示を出した冒険者に討伐を任せて、自分達は避難してた街の人を護衛してた。ってことにしたいみたいニャ。」

「ホントにアイツどうしようもないね。」


 あのDQNクズすぎる。

 草原でも責任逃ればっか言ってたもんなあ。


「それでチカにお願いがあるニャ。」

「ギルドカードは持ってるニャ?」

「うん。これだよね?」


 バックからギルドカードを取り出す。

 メリィちゃんにギルドカードを見せた。


「そうこれニャ。このギルドカードは魔物を討伐すると記録されてギルドの魔道具で見れるようになってるニャ。」

「へー。そうゆう仕組みなんだ。」

「私と一緒にギルドに行ってギルド統括にそのカードを見せてほしいのニャ。」

「いいよ?」


 マリーちゃんとメリィちゃんが泥棒扱いされるなんて嫌だしね。


「でもカード見れば分かるのになんでギルドマスターはそんな嘘を?」

「ん~それが分からないニャ。よほど余裕がないのか、それとも討伐者が名乗りでないからすでに街にいないと思ったのか...。」

「普通は名乗りでるものなの?」

「ガルーダ二匹の討伐で街を救ってるから普通なら名乗りでるだろうニャー。街でも英雄が稲妻で二匹のガルーダをつらぬいて一瞬で倒したって噂になってるほどニャ!」

「へー。その人は英雄になりたくないのかもね。」


 マリーちゃんはニヤニヤした顔で私を見つめる。

 そんな顔されても私は名乗りでないよ?

 平和に自由で楽しく暮らそうとしてるのに、街の英雄なんて冗談じゃない。

『英雄』は重大な責任を個人に押し付ける生贄なんだよ?

 私は元の世界でそう学んだもん。

 ゲームでね!



 私達はマリーメリィ商会をでて、冒険者ギルドに向かった。

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