第31話 漆黒の槍の性能とメリィちゃん


 目が覚める。

 どのくらい時間が経ったんだろう。

 起き上がり周りを見渡す。

 いつも私が泊まってる宿屋の部屋だ。


「えっ。まさかの夢オチ?」


 ベットから降りて窓の外を見る。

 そんなわけないよね。

 倒壊した建物の瓦礫を街の人達が忙しそうに片付けていた。

 日が昇ってる。

 半日ぐらいねてたのかな?


 ベットの横を見ると漆黒の槍が立てかけられている。

 懐かしさを感じながら手に取って鑑定をつかった。


 ーーー

 魔槍ブリュナーク

[所有者]チカ

[属性]���

[効果]

 意思をもった魔槍。所有者以外装備不可。

 魔力を消費することで稲妻を纏って攻撃可能。

 遠距離攻撃時に魔力を消費して加速し所有者が標的と認識するものに対して、自動的に軌道を変えてつらぬく。魔力消費量に比例して威力や速度が増加。

 ーーー


 うわっ。

 これ私が知ってる魔槍ブリュナークそのものだよ。

 突いてよし。

 斬りつけてよし。

 投げてよし。

 さすが最高ランクの神器級の武器だ。

 デメリットは魔力消費量と持ち手側と穂先の両方に刃がついてるから味方が近くにいるときは気をつけないといけない点かな。


 でもやっぱり魔力消費で倒れたのか。

 あの時は余裕がなくて全力で投げたもんね。

 今度検証してみる必要があるなあ。


 コンコン!


 部屋のドアを叩く音がした。


「はーい?」

「入るニャ!」


 メリィちゃんがドアを開けた。

 新しい白色の猫耳パーカーを着たメリィちゃんがニコニコした笑顔で部屋に入ってきた。


「メリィちゃん!よかった無事だったんだね。マリーちゃんは大丈夫だった?」

「おかげで私もマリーも無事だニャ!マリーは少しの間は安静だけどニャ!」

「あっマイちゃんのお母さんは!?」

「大丈夫ニャ!ちょうどお買い物にきてたから、私がマリーメリィ商会の地下に避難させていたニャ!」

「そうだったんだ。よかった~。」


 メリィちゃんは椅子に座る。

 真面目な表情で私を見つめてくる。

 ん?

 なんでそんな顔で私をみるの?


「ど、どうしたの?」

「チカに聞きたいことがあるニャ。」

「なに?」

「その黒い槍はなんなのニャ?チカが気を失って倒れた後に勝手に手元に戻ってきたニャ。まるで生きてるみたいだったニャ。」


 あー。ゲームでも自動で戻ってきたね。

 どうやって説明しようかな。


「それに槍をチカの手から引き離そうとしたらビリビリってしたニャ!まるで所有者を選ぶといわれる聖剣みたいニャ。」


 うん。ゲームでも所有者が権利を譲渡しないと持つことできなかったもんね。

 困ったなぁ。

 魔槍ブリュナークの詳細を安易に喋るのは危険かも。

 もしその聖剣と同等の武器だったらめんどくさいことになる気がする。



 私が考えこんで黙っているとメリィちゃんが私を見つめながら溜息をついた。


「わかったニャ。もう聞かないニャ。でも話したくなったらいつでも話してほしいニャ。チカは命の恩人だから力になりたいニャ。」

「メリィちゃん..。ありがとう。」


 ホントにいい子だ。

 この町でメリィちゃんとマリーちゃんの姉妹に出会えて本当によかった。


「あとガルーダも回収しといたニャ!解体しちゃっていいかニャ?」

「助かるよ。あっヒートモンキーとホーンラビットもあるからお店にいくよ。」

「了解ニャ!じゃあ一緒にいくニャ!まだ話したいこともあるし解体をしてる間にお店で話すニャ!」


 二人で宿屋をでてマリーメリィ商会に向かった。

 あれ?

 でもお店の一部が倒壊してたけど大丈夫なのかな?

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