第24話 ガルーダ強襲

ギルドからの緊急招集により街にいた冒険者が門の前に集まっていた。


 外壁付近ではシルバーウルフの鳴き声と風を切るような激しい羽音が響きわたる。普段なら夕飯時で賑わう街路には人の姿がない。



 ギルドマスターは集まった冒険者達を見据えて、大きく息を吸い込んだ。


「よしっ!! お前達っ!! よく集まってくれたあああっ!! これから街の城壁の防衛にはいる!」



 冒険者達は恐怖で顔を青ざめながらギルドマスターの方を振り返った。


「いいかっ!! シルバーウルフの討伐隊が合流するまで決して手をだすな!万が一にも城壁が壊されたら終わりだ。もしガルーダに狙われたら西の森の方角に逃げろ!」


 冒険者達は愕然とした。

 ガルーダの飛行速度は通常の人間の速度では逃げきることは難しい。


 速度を加速させる魔法やスキルがあれば可能性はあるが、ニッケルの冒険者達の中にはいなかった。


 狙われることは死を意味していた。


「臆するな!! 討伐隊もすぐ合流できる!!城壁を守ることだけに専念するんだ!!」


 最・悪・の・見・落・と・し・に誰ひとり気づかぬまま冒険者達は城壁の防衛のために街の外に向かった。




「あ、あの遠くに見えるのがガルーダとシルバーウルフ達か?」

「すごい砂埃だな......」

「おい。シルバーウルフが吹き飛ばされてるぞ......」


 冒険者達は激しく砂埃が舞っている方向を見つめていた。


 二匹のガルーダは目がギョロっとした化け物のような顔つきで漆黒の巨大な翼を羽ばたかせ、上空からすごい速度で下降しシルバーウルフに襲いかかり貪り食っている。


「なんだよ。あれ......。化け物じゃねえか」

「お、おい!! シルバーウルフ達が西の森に逃げようとしてないか?」


 シルバーウルフ達は身を隠くそうと冒険者達の前方を横切り西の森へ疾走していく。


「グルルルルル!!」

「グギャアアアアァァ!!」


 ガルーダ達はシルバーウルフ達を追うのをやめて上空を旋回している。


「なんでガルーダはシルバーウルフを追っていかないでグルグル回ってんだ?」

「さあ? デカすぎて森だと上空から捕食できねえんじゃないか?」

「......って!! おい!! ガルーダがこっちに向かってくるぞ!?」



 ガルーダはシルバーウルフ以上に賢い魔物だ。


 獲物を捕食しながら街から出てきた冒険者達も視線に捉えていた。数が多く簡単に捕食できそうな獲物を狙っていたにすぎない。



 ガルーダ達は旋回をやめて街に向かって真っ直ぐに飛んで迫ってくる。


 冒険者達は動揺し震えながら武器を構えた。


「くそっ!!」

「もう覚悟を決めるしかねえぞっ!!」

「街を守るんだあぁーっ!!」


 魔法を得意とする冒険者は杖をガルーダに構えて炎の魔法を放った。


 複数の炎が絡み合いながらガルーダの腹部を焼き払うが、巨大な翼を羽ばたかせて上空から凄いスピードで下降してくる。


 建物が崩壊するような凄まじい音とたくさんの悲鳴がから響き渡った。

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