第23話 街の危機だよ!


 街の城壁付近でガルーダがシルバーウルフを捕食しようと暴れているため街中が大騒ぎになっていた。



 ー 冒険者ギルド ー

 受付担当:メアリー


 ギルドの休憩室でボロボロで倒れていたレナードさんが目を覚ました。

 それに気づき慌てて彼に駆け寄る。


「うっ..。ここは?」

「ギルドの休憩室です。いったいなにがあったんですか?」


「俺はギルドに状況報告と応援要請をするために街にもどっていたんだ。街までもう少しってところで、本隊が戦っているはずのシルバーウルフの集団が後方から現われた。なぜか奴らは俺を襲ってこなかったから不思議に思っていたが、上空からきた二匹のガルーダを見てその理由がわかった。奴らはガルーダから逃げてたんだ。」


「ではレナードさんは、ガルーダがシルバーウルフを捕食しようとしたところに巻き込まれた。そういうことですか?」

「ああ..。ガールダに街の方向に吹き飛ばされたおかげでなんとか逃げてこれた。」



 私はレナードさんの話を聞いて状況を理解した。

 やっぱり調査隊をおくるべきだったのよ!

 もし城壁が崩されたら街も私達も..。

 最悪の未来を想像して無意識に身体が震えた。

 こうしちゃいられないわ!

 すぐに報告して対策と他の街のギルドにも救援要請をしないと!

 私は慌てて休憩室をでた。



 ギルドマスターがいる部屋についた。

 息を少し整えてから部屋のドアを叩く。

 部屋のドアを開けて、椅子に座るマスターに現在の状況を報告する。


「なに!?街の城壁付近にガルーダとシルバーウルフだと!?」

「はい。状況からの推測ですが。シルバーウルフはガールダから逃げるために本来の生息地から草原まで移動してきた可能性が高いです。」


「他の討伐メンバー達はどうした!!」

「生死不明です。無事だとしてもシルバーウルフの数も予想以上だったようなので、長時間の戦闘で疲弊しているかと。」


 ギルドマスターは机に座ったまま頭を抱える。

 私は内心呆れながらマスターを見つめる。

 だからまずは調査隊をおくるべきだといったのよ!

 そうすれば尋常じゃない魔物の大量発生をみて異変に気づき予測できたかもしれないのに!

 ガルーダも血のニオイと草原での戦闘で気づいてシルバーウルフ達を追ってきたに違いないわ。



「メアリー!残りの冒険者を全員街の門に集合させろ!!緊急招集だ。」

「どうされるつもりですが?」

「討伐するに決まってるだろう!!!」


「無謀です!ガルーダはAランクの魔物ですよ?いま街にはBランク以下の冒険者しかいません。それに下手に刺激を与えて街を襲われたらどうするんですか!!」


「だまれ!城壁を防衛している間に討伐隊もきっとすぐ戻って合流してくる。討伐はそれからだ!最悪誰かを囮につかって街から引き離せば、なんの問題もない!俺に指図するな!!」


「そんな...。囮になんて誰がなるんですか!他の街のギルドに救援を要請すべきです!」

「そんなもの必要ない!!お前は俺の言うことを聞いてればいいんだ!」


 ギルドマスターは顔を真っ赤にして怒鳴りながら部屋をでていった。


 無茶苦茶だわ。

 疲弊した討伐隊が合流したところで二匹のガルーダを倒せるとは思えない。

 そもそも彼等はあの筋肉バカのせいで、Aランクの魔物と戦ったことすらないじゃない。

 Aランクの実力があるとは思えない。


 私は急いでギルドマスターを追いかけた。

 必死に作戦の変更を進言したが、聞き入れてもらえることはなかった。




「もう仕方ないかな...。最悪仕事を失うかもしれないけど、街を壊滅させるわけにはいかないわよね。」


 自分だけでも逃げようかとも考えた。

 けどずっとこの街の出来事を後悔しながら生きていくなんて私には耐えられない。


 私はギルドの通信魔道具を手に取った。

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