第16話 ギルドとマリーメリィ商会
倉庫をでて店内にもどってきた。
「メリィちゃんはどこかな?」
魔物の生死の判断方法を聞きたいんだけど......。
店内を歩きながら辺りを見渡していると、大きめの紙袋を抱えたマリーちゃんと一緒にいるメリィちゃんを見つけた。お買い物の帰りかな?
あっ、マリーちゃんと目が合った。
マリーちゃんは私に気がつくと、紙袋を片手に持ちなおして、軽く手を振ってくれた。
「お帰りにゃ! ちょうどマリーとチカの話をしてたニャ」
「私のはなし?」
「ん......。ギルドのはなしをしてた」
「うちが魔物の解体と素材の買取をはじめてからギルドの利益が上がらなくて目の敵にしてるニャ。迷惑かけてごめんにゃ」
「私達のせいでごめんなさい。猫耳パーカー嫌になっちゃった......?」
二人は申し訳なさそうに頭を下げた。
なるほど。だからあんなにネコネコ言ってたのか。あのDQNマスターめぇ......。
「大丈夫だから二人とも気にしないで。解体や買取はまたしてくれるんでしょ?」
「もちろんニャ!チカありがとニャ。でもギルドの講習も受けずに魔物を狩りにいくなんて危ないニャ!」
「うん......。チカが怪我しないでほんとよかった」
「戦うときにどう動けばいいかの知識だけはあったからね。慎重に探索すれば弱い魔物なら大丈夫かなって思って」
まあ、ゲームでだけどね! 知識が全く無かったらホーンラビットに串刺しにされてたかも。
「んにゃー。じゃあチカにこれをあげるにゃ」
メリィちゃんはすぐ近くのカウンタから指輪を取り出してきた。
青い石がついた銀色の指輪を受け取る。
「これは?」
「イマジネーションリングっていって少しだけ動きやすくなる指輪にゃ!」
指輪を手に持って鑑定してみた。
イマジネーションリング
効果: イメージを身体に伝達する能力が少し向上する。
「ギルドの講習を受けたらみんなもらえるニャ。新人さんはそれを装備して、講習で習ったことを弱い魔物で練習して強くなっていくのニャ!」
初心者装備ってことね。どうせならレベルに比例して効果が増加してくれたらいいのに。この世界の運営はケチだなぁー。
でもあまり運動なんてしてこなかったせいで、思うように身体が動かなくて困ってたし助かるかな。
「あっ、ホント気持ち動きやすくなる程度だから無理はしちゃ駄目ニャ!」
「はーい! ありがと」
メリィちゃんにお礼をしてから指輪を指にはめた。まあないよりマシかな? つけてて困ることもないしね。
「それにしてもあのギルドマスターにも本当に困ったものニャ! 最近は特にニャ! ギルドマスターの立場を利用してやりたい放題ニャ!」
「どういうこと?」
「気に入ってる冒険者や強い冒険者を過度に優遇して、逆に自分が気に食わない冒険者には冷遇したり依頼を受注できないようにして追いだしたりしてるニャ!」
「ひどいね。でもなんで強い冒険者をそんなに優遇するの? どの街にいても同じじゃない?」
「強い冒険者を自分の手元に多くおいておけば、ギルドという組織の中で大きな影響力を持つことができるからニャ」
「大きな影響力?」
「例えばニャ! 自分の街にいる冒険者では対応できないようなことが起きたら、その街のギルドマスターはどうすると思うかニャ?」
「あっ!」
「気づいたかニャ? 他の街のギルドに救援を依頼するしかないのニャ。もしそこで断られたらその街はすごく困るニャ」
「ん......。自分の立場を強固なものにしてやりたい放題してる。どうしようもない人」
「うちを目の敵にしてる理由もギルドの利益が自分の収入に直結してるからニャ」
メリィちゃんはあきれた表情でため息をついた。
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