第11話 お買い物と初めての魔法だよ!

 翌朝。朝日が眩しくて目が覚めた。


 お腹が減ったので猫耳パーカーに着替えて食堂で食事をしてからマリーメリィ商会に出かけた。


 マリーちゃんもメリィちゃんもいないみたいだ。昨日はあまり店内を見ることができなかったので、ゆっくり見て回ることにした。

 

「けっこう広いなぁ......」


だけど色々な商品が種類ごとに棚に並んでるから見やすくていいかも。


「さてと。優先して買うとしたら下着と武器かぁー......」


 下着は着ていたものしかなかったので早急にほしい。

 

 下着が並んでいる棚はすぐ見つかった。種類も豊富だ。小さいネコの絵が書いてある下着もある。いやこれは買わないよ?


 次は武器を見に行くことにした。護身用も兼ねて武器は絶対必要だよね! 何が起こるかわからないし。


 宿屋も内鍵はついていたけど、壊そうと思えば壊せそうな感じだったしなぁー......


「んー。どれにしよう......」


 武器のコーナーには剣や弓や杖など、色々な種類の武器がたくさん並んでいた。


 武器なんて持ったことないから困ったなぁ。昔遊んでたゲームでは剣をつかってたけど......。

 

 私は適当に剣を手に取って軽く振ってみた。

 

 重さで体が引っ張られてよろめく。


「これはダメだ。振り回されちゃう」


 今度は適当に短剣を手に取ってみた。剣と比べて半分ぐらいの長さしかないけど、そのぶん軽いので私でも大丈夫そうだ。

 

 問題はどれを買うかだね......。


 剣もそうだったけど短剣といっても色々種類があってそれぞれ値段が違った。


 形や長さや重さぐらいならわかるけど、それにしては値段に差がありすぎる。


「んー......。ダメだ。全部同じに見える。これ他の人はどうやって選んでるんだろ?」


 他のお客さんがいないか周囲を探してみると、ちょうどゲームの冒険者みたいな格好をした女性と男性の二人組が同じように武器を選んでいた。


 ふたりは武器を手に持ってなにかを呟いてじっと武器を眺めたあと、首を横にふり、武器を元の棚に戻すとさっきのとは別の武器をまた手に持って、何か呟いたかと思うとじっと武器をみた後に隣の男性のほうを振り向き、二人で相談してる。

 

 あれは何をしてるんだろ?


「なにかお困りですかな?」


 後ろから声がしたので振り向く。

 昨日見かけた渋い感じの猫耳をした従業員のおじいさんがいた。



「あの二人はなにをやっているんですか? 武器を持って何か呟いてるように見えるんだけど......」


「あー。鑑定して武器を選ばれているようですね」


「鑑定?」


「失礼致しました。鑑定を使うと詳細を見ることができるのです」


「それは誰でも使えるものなんですか?」


「はい。誰でも青のスクロールで覚えればお使いになれます。これがそうです。よろしければ広げてみてください」


 私は紙を丸めたような青い巻物を受け取るとジョンさんに言われた通り広げてみた。


 青い文字で魔法陣みたいのが書いてある。魔法陣を眺めていると突然魔法陣が青く光り始めた。

 

 青い光が消えた後、スクロールに視線を戻すとスクロールは白紙になっていた。


「これであなたにも鑑定が使えるはずです。試してみてください」


「鑑定」



 鉄の短剣 

 属性: -なし

 効果: なし



「見えましたか? 属性や効果があるものはより高価で取引されています」


「あのさっきのスクロールはいくらするんですか?」


「お気になさらないで下さい。お嬢様方もいらっしゃればきっとチカ様にお譲りしていたでしょうから」


「私のこと知ってるの? えーと。あなたは?」


「失礼致しました。ジョンと申します。今後ともお嬢様をよろしくお願いします」


「こちらこそ! ジョンさんよろしくお願いします」


「失礼ながら丁寧に話されるのは身分が違う方と話す時ぐらいでよろしいかと。逆に見下されトラブルに巻き込まれる可能性もございます」


「そうなんだ。ありがとう! 気をつけるようにするね!」


 とりあえずお金もないのでさっきの鉄の短剣を買うことにした。


「チカ様。失礼ながら魔物の素材を剥ぎ取るためのナイフはよろしいのですか?」


「この短剣じゃダメ?」


「できないことはないですが、すぐに刃が痛んでしまうかと。商会やギルドでも解体は可能ですが運ばないといけないのが難点ですな」


──じゃあ大丈夫かな? 私にはこの不思議バックがあるし。


「とりあえず短剣だけで大丈夫です」


「かしこまりました。もし必要になったらいつでも言ってください」

 

 正直、動物を解体したことなんてないし、気持ち悪いからできれば触りたくない。解体されたものならスーパーでよく見てるから大丈夫なんだけなぁ......。


「あっちなみにスクロールがあれば誰でも色々なスキルや魔法を覚えられるの?」


「青のスクロールは簡単な魔法やスキルしかありませんので誰でも覚えられます。それ以上となると緑のスクロールがありますが、職業にあったものでないと魔法陣が反応しません。取得できるスキルによって値段も跳ね上がりますな」


 ジョンさんに他の青のスクロールを見せてもらえたので鑑定した。


[火魔法]:魔力で小さな火をだせる。

[洗浄]:魔力で汚れを落とすことができる。

[水魔法]:魔力で少量の水をだせる。


 便利そうなので三つとも買って習得することにした。バックからお金を取り出してジョンさんに渡す。


 ジョンさんにギルドの場所を聞いたら、丁寧にギルドの場所を教えてくれた。

 

 昨日笑いそうになってごめんね。


 色々教えてくれたジョンさんにお礼をいって店をでた。


 さてと、次はギルドにいこうかな!

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