第6話 マリーメリィ商会だよ!

ー ニッケルの街 ー


 街の中は夕暮れ時だからなのかジョッキみたいなのを片手に食事を楽しんでいる人や、屋台で串焼きみたいなものを食べてる人達で賑わっていた。


「いいなぁー。はぁ……。わたしもお腹減ったなぁ……」


 ぐぅーぐぅー鳴るお腹をさすりながら、兵士のおじさんが言ってたマリーメリィさんのお店を探してたら思いのほかすぐ見つかった。


『マリーメリィ商会』という文字と、かわいい猫達が竜と戦ってるような絵が描いてあるとても大きな看板。


 なるほど。確かにこれはすごく目立つ。マリーメリィさんは猫好きなのかな?


 お店の中に入ってみると、たくさんの武器や防具が並んでいた。


 でもネコだらけだ。どの武器や防具にもかわいい猫ちゃんの装飾がついてる。盾の形が猫ちゃんのものまである。


 門にいたあのこわい兵士さんがここの可愛い武器や盾もってたらすごく面白そうだ。今度買ってもっていこう。……笑われたからじゃないよ?


『おーっ……」


 突然、背後から幼げなで可愛らしい声が聞こえてきたので振り返ると、15歳ぐらいの私より小柄な女の子が私に向かって走ってきた。


 青い髪の美人さんだ。かわいい黒色の猫耳パーカーを着ている。


 女の子は私のとこまでくると、無表情だけど目をキラキラ輝かせながら私の着ている服をジーッと見つめて、「うん。そっか……。じゃあこっちは……?」と感心するようにウンウン頷きながら、周りをトコトコ歩いてて凄くかわいい。これは反則だ。


「……うん。やっぱりそう。私といっしょ。私も勇者様の服を参考にして作った。同志?」


 作った? 黒色の猫耳パーカーのことかな? この子もしかして……。


「あっ。私マリー。よろしく」


「はじめまして。わたしはチカです。あなたがマリーメリィさん?」


「ん。正しいけど違う。よく間違われる。私はマリーメリィのマリー」


「……?」


『マリー! それじゃわかりづらいって何度言ったらわかるニャ! 女の子も困ってるニャ!』


 声がしたほうを振り返ると、赤い髪でかわいい白色の猫耳パーカーを着た18歳ぐらいの女の子がいた。


 私やマリーさんより少し背は大きい。顔はマリーさんに似てる気がする。家族かな?


「……ん? 困っている女の子?」


 私は後ろを振り返った。

 

 冒険者の男女が商品を手に取って仲良さげに買い物を楽しんでいた。どうやら女の子はいなくなってるみたいだ。


「私はメリィ。マリーメリィ商会は私と妹のマリーで経営してる商会ニャ!せっかくおつかいにきてくれたのに、混乱させちゃったみたいでごめんニャ……」


 メリィさんは申し訳なさそうに頭を下げながら優しく私の頭を撫でた。


 女の子って私のことかッ!!

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