ニッケルの街

第5話 はじめての街だよ!

 休憩をとって体力も少し回復したので、先へ進むことにした。


「やっぱりこの自動販売機このままのしとくのはまずいよね……」


 まだこの世界がどのぐらいの文明レベルなのかも分からない。それに自動販売機の中には飲み物が1種類に1本づつはいってる。貴重な飲み物は絶対持っていきたい。


「でも手に持って歩くのは嫌だなぁ。ゲームにあったなんでもはいる収納バッグでもあればいいんだけど。……ちょっと試してみようかな?」

 

 私は試しに心の中でゲームで使ってた収納バックを思い浮かべてみた。


 するとドサッ!っと地面に何かが落ちる音ともに革のショルダーバックがでできた。


「おー! 本当にでてきたよっ!!」


 今回は出てきたらいいなぁー! ってすごく期待してたんだよね! やるだけならタダだ。それに有名な青い猫型ロボットのポケット! ……じゃないけど同じようなバッグだよ? まさに夢のアイテムだ!


「とりあえず入れることができるか試してみようかな?」


 自動販売機と飲み物はバッグの中に問題なくいれることができた。なんか吸い込まれていくような感じ?


「……これバックの中で粉々になってたりしないよね?」


 すこし不安になったので取り出せるかどうか試してみることにした。


 バックに触れてみると、中に何がはいっているのかが頭の中に浮かんできた。すごく不思議な感覚だ。もちろん中身も問題なく取り出すことができた。



 結局この加護の力ってなんなんだろ? いまのところ分かっているのは……。


 ①同じのものは複数だせない

 ②だせない物もある

 ③だせる物は例え地球に存在していない物でもだすことができる。

 ④欲しい物を声に出さなくても問題ない。

 ⑤抽象的だとだめ。



 ……そういえば学生の頃みんなで正解を当てるゲームあったなー。


 少し懐かしさを感じつつ加護について考えてみる。


 

 ──ミリアーヌの加護(創造改変)


『だせる物』と『だせない物』の違いと、なぜすべて『1つしかだすことができない』のかは分からない。


 今後検証していくしかないかなぁ〜。


 ん? でも同じ物はだせないのに自動販売機の部品や飲み物の容器はいいんだ……。

 

 ミリアーヌクオリティー? まっ、私としては助かるけど。


「よしっ! ここは危険だし。もう少し頑張って街か危険がない場所を探さないとね!」



◆◇◆◇



 しばらく草原を歩いていると、遠くに城壁みたいなものが見えてきた。


 けっこう大きい。 魔物とかがいる世界だからかな?


 門の前につくと、槍を手に持って鉄の鎧を着た目つきの鋭い兵士さんがいた。


 んー。文明レベルは私がいた世界より低いのかもしれない。槍や鉄の鎧なんて初めてみたよ。

 

 てかこの兵士さんの視線すごくこわい……。いきなり刺されたりなんてしないよね? なんだか緊張してきた……。


「ちょっと待て。お前見慣れない格好をしているな。どこからきた?」


 困った。どうしよう......。適当にごまかしてみようかなー? 女神様に連れてこられました! なんて言ってもさらに怪しまれるだけだよね? ……うん。私なら確実に正気を疑う。


 わたしは猫をかぶりながら兵士さんを見つめた。


「遠くの田舎からでて旅をしています。名前もないような村なのでご存知ないかもしれません」


「あー。まだそうゆう村もあるちゃあるか。それによくみたらその服装。勇者様が着てた服と似てるな。武器もなしで旅をしてたのか?」


 そういえば勇者がいるんだった。兵士さんの話しを聞いてる感じだと、勇者が元々いた世界って服に関してはわたしと同じ世界、もしくは近い文明レベルの世界だったのかも。ちょっと会ってみたいなー。



「衣服は私が勇者様が大好きなので、両親が用意してくれました。武器は途中で壊れてしまって……」


「そうか。勇者様が好きで服までねえ……」


 兵士さんは若干呆れた感じで、私の服を眺めてきた。


 すごく残念な人を見る目で見られてる気がする。そんな目で私をみないでください!! ううっ……。選択肢がなかったんだよ! 仕方ないでしょ!?


「武器は災難だったな。まぁ、魔道水晶も反応していないってことは犯罪を犯して逃げてきたってわけでもなさそうだな。よし。もう通っていいぞ」


(魔道水晶? それでどうやって判別してるのかきになるけど、いまは街にはいることのが大事だよね……)


「ありがとうございます」


「そうだ嬢ちゃん。新しい武器を買うならマリーメリィ商会にでも行ってみるといい。すこし変わった店だが嬢ちゃんなら……。まあ、気にいるんじゃないか?」


「それ私もかわってるって言ってるよね?」


「ぷっ!! ま、まぁ、街を歩いてりゃ嫌でも目立つからすぐ分かる。いろんな意味で有名な店だから気が向いたらいってみるといい」


(このおじさん、いま笑ったよね?)


 少しイライラしつつ、一応兵士さんにお礼を言ってから街の門をくぐった。

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