第2話 はじめての転移だよ!

「まぁ、私の管理する世界はだいたいこんな感じね! 詳しいことは実際にチカちゃん自身で新しい世界を楽しみながらゆっくり確認した方がいいと思うの!」


「いや、まったくよくないんだけど……」


 あんなくだらない理由で突然こんなとこに連れてこられて、異世界を楽しんで! なんて言われても楽しめるわけないじゃん!!


「もう説明するのも飽きちゃったし。私も早くチカちゃんのみて楽しみたいし……ね」


「……グーパンチしていいですか?」


「きゃーっ!! チカちゃんって意外に攻撃的? そういうのよくないわよ~?」


 ついイラッとして口にでちゃった。

 しょうがないよね? 楽しみたいが絶対本音だよ!


「あははは! そう怒らないで? そうだ、チカちゃんのために加護をあげちゃう! 特別なものなのよ? 不安でビクビクしてるチカちゃんもこれで安心して旅立てるってわけ!」


 ん? あれ? 私いま不安なんて口にだしたっけ。いやだしてないよね? 表情にでちゃってたのかな。


 私が困惑しながら考え込んでいると、ミリアーヌさんが私の肩をポンポンと叩く。


「え、なに? 急にどうしたの?」


「だしてないわよ? ふふふっ! このミリアーヌ様に隠しごとなんてできるわけないじゃない!」


 そう言うと、ミリアーヌさんは得意げな表情で胸を張った。


「えっ。じゃあ私が今まで考えてたこと全部ミリアーヌさんに伝わってたってこと?」


「あはは! 感情から考えてたことまで、ぜ~んぶだだ漏れってわけ! あっ、あと加護についてはあっちの世界についたら『ステータス』って言えば詳しい内容が分かるようになっているわ」


 私のプライバシーはどこですか? この駄女神ひどすぎるよ!!


「駄女神じゃないでしょ? ミリアーヌさんと呼びなさい! 駄女神なんて呼んでると……ついうっかりこわーい魔物さんがたくさんいるところに送っちゃうかもしれないわよ?」


「うわわっ!! やめてよ!! そんなことされたらすぐ死んじゃうじゃん!」


 

 勝手に呼んどいてこの駄女神はなんて理不尽で恐ろしいことを言うんだ。

 こわいよこの駄女神!


「もう! 女神に向かって失礼な子ね! まぁ、確かにくじ引きで適当にチカちゃんを呼んじゃったのは悪かったけど、私は慈愛に満ちた女神なのよ?」


「え?」


 く、くじ引きだったの? 

 たくさんの人から選ばれたってそういうこと!?

 やっぱり駄女神じゃないか!! 誰が聞いたって絶対そう言うよきっと!


「チカちゃ〜ん……?」


 ミリアーヌさんにガシッ!と両肩を掴まれた。

 反射的にビクッと私の体が震える。


 笑顔だけど目が笑ってないから、怖いんだよミリアーヌさんのその笑顔。


「ごめんなさい……」


「もう! じゃあそろそろ私の世界に送っちゃうわね!」


「えっ!?」


 ミリアーヌさんが話が終わるや否や、突然目の前が激しい光に包まれた。

 そのあまりの眩しさに私は思わず目を閉じた。


「あっ、チカちゃんが楽しみしてたプリンはもったいないから私が食べといてあげますっ! だから安心して旅だってね♪」


「はあああああああっ!? ずっと楽しみにしてたのにーーッ!!」

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