第17話 占姫の女

 ふてぶてしい態度。黒豚のように肥えている。見た感じ、自分さえ良ければ民のことを虫けらのように扱う人物だと分かった。ザ・悪代官。直感で分かった。排除しないといけない。


 「今日は何の用ですかな。占姫様」

 この領主は私を小娘扱い。役職では私の方が上だ。それを分かっていての狼藉。許せなかった。

 「・・・今日は貴方に話があってここに来たのよ。それなのにあの門番の態度は何? 貴方は門番の教育も出来ないのかしら?」

 「・・・申し訳ありません。後で罰を与えましょう」

 「・・・後でね。それに兵士が次々と現れたのは何故かしら?」

 「・・・」

 領主は黙った。

 「・・・それが答えなのね。よく分かりました。護南将軍・占姫の名にかけて、貴方を処分します。・・・いいわね」

 「ふっ、ははは。・・・笑わせるな! 小娘に何ができる。お前達、殺ってしまえ!」

 私は兵士達に囲まれた。

 「ギャー」

 次々と矢が放たれる。リキュールとウォッカの弓攻撃。兵士達の囲いが解けた。

 私は領主に詰め寄った。刀を抜く領主。テキーラが刀を弾く。慌てた領主は庭に飛び降りて逃げた。ジンは影縫いで領主の背後を取る。一瞬の出来事。首を斬った。血飛沫をあげて倒れる領主。

 「貴方達はどうするの? 武器を捨てなさい!」

 兵士達は戦意を失くして、次々と武器を捨てた。


 ウォッカとリキュールは、長達に門の外で待つように止めていた。

 ジンが領主の首を門の外へ投げ捨てた。

 「な、これはいったい?」

 皆が一斉に私を見た。

 「・・・ごめんなさい。領主は私の方で片付けました。あなた達には今後の話があります」

 長達は平伏した。

 「頭をあげなさい。話が出来ないでしょう。次の領主はあなた達で決めなさい! 以上」

 私は執事とメイドを引き連れて、屋敷を見て回った。

 蔵には財宝が溜め込まれていた。執事達にすべて運び出させた。

 立ち上がった民にすべて配った。長達から感謝された。長達の代表が私に「領主をお願いします」と言った。ウォッカも「しばらくは、それがいいでしょう」と言い、他の執事達もウンウンと首を縦に振っていた。

 こうして、南国の地は私の直轄地となった。

 (ここからがスタートね)


 護南将軍・占姫の名前は、名君としてうなぎ登り。仕事はウォッカ達にすべて任せていた。私が行動するより任せた方が上手くいく。民から不満は消えた。

 「民と共に国作り」

 私の方針が皆を動かした。不正の役人を排除。人事を刷新した。民から喜ばれた。

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