第6話 決戦!!戦慄のスナイパー 前編
《ミヒェル選手。ステージ選択権を得ました》
「だぁーッ!んだよ。毎回毎回ツいてねえぜ」
(こんなのただの敵ゲーじゃねえか)
「では、遠慮なく定めてあげる」
眉一つ動かさず傭兵は宣った。
《おーっと!?これは一体どうゆう事だぁー会場騒然》
VRが映し出したのは折衷ステージだった。
ウチが勝った場合にホームフィールドとして
選ぶことのできるジェネチャイナフィールドと、ミヒェルのホームフィールド…ジェネロシアフィールドとの。
「別にサイコロ勝負で勝った方が
自分だけのフィールドを指定しなければいけないわけじゃないだろう」
《たしかに、そういったルールはございません。前代未聞ではありますが有権者自らの選択ということで今回の試合を送らせていただきます》
〈それでは決勝リーグ第三回戦を行いす!!両選手とも用意はいいでしょうか!?〉
〈それではジェネ・バトル!!RADY!GO!!!!〉
「ふん、わかりゃいいのさ。わかりゃ」
そう告げると、寒風吹きすさぶ雪の大地へと
女兵士は姿を消した。
「おい!!待ちやがれ!!!!」
追いかけるも、足音一つしない。
積雪に足を取られる。足だけではない。
身にまとう衣装が重い。思った以上に深い。
(鈴麗…ユーは強い。ミーとの修行を
思い出すんだ)
「あら、やっぱりいらしてたのですわね」
「ミスフランス!ユーも来てると思ってたよ♪やはり気になるか」
「わたくしの夢をあの娘に託していますもの。貴女もそうではなくって?」
「もちろん♪これはミーの試合でもあるからさ」
吹雪で視界が遮られる。辺りも暗闇に
包まれている。
ピシュン!!
弾丸が右腕をかすめる。
「ちッ!!この方角は西か」
(スナイパーは獲物を捉えると
その性質上、大幅な移動は伴わない♪
なぜなら体力を自ら消耗するのは集中力を削る事に繋がるから)
ガン・トレットの声が聴こえる。
いや、聴こえたんじゃない。思い出してるんだ。
(ミーの方角をユーが見極めたならば…遮蔽物を探しながらミーを誘いこむんだよ♪相手を動かす事だけひたすら考えて)
そうだ。暗闇にも慣れてきた。遠くの針葉樹林を背景にいくつか雪の小山が確認できる。一旦身を隠すんだ。
ピシュン!ピシュン!続けざまに撃ってくる。
やはりソッチからか。
命からがらなんとか前方の2つに連なる雪山
へと身を投げる。
遮蔽物に身を隠す。
目の前に蛍が幾匹か吹雪の中を漂っている。
空中を明滅するその動きは辺りに溶け込まず
異様な美しさを讃えているかのようだ。
だが…蛍?こんな場所に蛍が居るハズはない。VRだから何でもありなんだろうか。
そんな事を考えていると蛍に見えた光に
規則性を発見した。光は対なのだ!!
全てで6つの光全てが。嫌な予感がした。
グルル…声を懲らしている。
オオカミ。3匹の魔犬。
ナルホド、飛び道具は何も一つ、二つではないのか。
ウチの動きを制限する為のミヒェルの近接武器がこの使役する犬達。
まだコイツラには気づかれてはいないようだが…果たしてどうする。
「出てきなさい」冷たい声が後ろで響く。
(どうすりゃいいんだ)
「冷静になるしかあるまいて
!d(*´ω`🎀)」
ふと聞き覚えのある声が脳裏をよぎる。
「これでお前は2度死んだ事になる。
やはり赤子の手をひねるようなものだな」
黙っていれば言いたい事言いやがって。
ズッ!
雪溶けの服が衣連れをおこした。
「しまッた」更に声まで出してしまう。
(闘いは常に冷静にならないといけない♪
ユーは簡単な挑発にムキになりやすい。
ミーとの対戦でもすぐカッとなってたし。
行動面でも精神面でも相手に乗らないことが大切)
「ヤハリソコか!!」バババババッ!!!!AKを縦横無尽に乱射してくる。
アタリをつけていたらしい。つまらん
挑発にノッてしまったわが身を呪う。
と、狼達にも居所を気づかせてしまった。
観念したその時、
銃弾は吹雪の圧により、弾道が弱冠ズレたのか身を伏せたウチの後ろの魔犬達に
流れ弾となり2匹をしとめる結果となった。
残る1匹は首筋に命中し、息も絶え絶えだが
命を落とすまでは至らなかったようだ。
しかしながら足取りは悪い。
「チッ役立たずが」目の前にミヒェルが現れる。AKをウチに向ける。
(ヤベェ)
鈴麗ッー!!逃げ(て)
(ろ)
カチャ…カチャ…「チッ!こんな場面で」
どうやら、弾切れを起こしたらしい。
マガジンケースに見遣るミヒェルに隙ができた。前蹴りをくり出す。雪の重みのせいで
威力は大分殺されてはいるものの
明確に鎖骨を捉えた。ミシッ
「クハッ」姿勢が崩れた。次は腹に拳をくり出す。
ミヒェルの身がくの字に曲がる
立て続けにコンボを入れたいところに
激痛が走った。前回のサーベルに射抜かれた
足に犬歯が食い込んでいる。
次はウチが転倒した。ガルルルッ
血が滲んでゆく。自由な左足で眉間を撃つ。
「キャン」やっと離れた。が、すぐさま狼は
姿勢を立て直す。このままではミヒェルを倒してもこの狼に殺られる。
まだ悶絶しているミヒェルをよそに左足をひきずりながらも雪山のVRから離れる。
ウチは勝たないといけないんだ。
「ウゥ…まちなさい」
「危なくて見てられないよ。全くミーの修行を裏切るヒヤヒヤし闘いするんだもの」
重い息が出る。
「鈴麗を信じましょう。あの小娘は
いつだってめげない姿勢が奇跡を起こしてきたんですもの。コレまでも、この試合でも。きっと」シャルロットは真っ直ぐに鈴麗を信じている。
ミーも信じなければ。
ジェネチャイナフィールドに満身創痍ながらも逃げ込む。足を踏み入れた瞬間に
鈍い違和感があった。先程の殺風景な所とはうってかわりまるで書き割のような都市。
縦に奥行きがある。衣張りの中華街をイメージしているため高層の建物が軒を連ねている。
光がある。眩しいぐらいだ。
あの様子だと、ミヒェルも狼もすぐに追ってくるだろう。
舗装された道にライトバンが駐まっている。
フロント部分に身を沈めることにする。
なぜならこの駐車の向き、位置がこの世界(VR)の限界なのだから。隣は、、黒と白を二分したロシアフィールドとの境目に当たっている。つまりウチはっきの場所から出てきて境目をどうやら下っ(上がっ?)て
きたらしい。
地面をきれい二分割できていないらしく
時折両フィールドの読み込みに時間を要しているみたいで時空の流れの特異点となっている。
ピシュン!!!ピシュン!銃声が降り掛かってくる。もう狙撃ポイントを見つけたらしい「アウェイなのによくやるぜ。クイーンか。恐れ入ったよ。
ま、でもこの傷じゃあな…」血がウチの場所を正直に教えてしまっているんだ。
銃撃の音からおよその方向は把握できた。
ヤツの鎖骨を折った効果かはしらねえけど「ヤケにブレてやがんな」
どことなく弾のラインにミヒェルの迷いが伝わってくる。なぜだろう。
そんなことを考えていると、身体がむず痒くなってきた。どうやら衣服についた獣の毛のせいらしい。
その瞬間に繋がった…。
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