第3話 クイーン

 スコープから視える標的との誤差は

数ミリとない。砲塔の先から指先にまで伝わってくる。プシュッ。プシュッ。プシュッ。

ヒトに見立てられた印が生気を失ったように倒れる。調子が良い。


 「好調だなミヒェル。次の相手は接近戦を得意とする相手だそうじゃないか。すこぶる相性が良いカードだな。我々の敵ではないという意味で。しかしまた何の連絡もなく抜け出していたとは。勝手な行動は慎んでもらいたい。」

「あたしに指図するんじゃないよ。

それに次の相手はあたしの敵じゃないよ。やろうと思えばいつでも倒せた相手だ」(そう…倒せた。赤子の手をひねるように)

「ただ…先の闘いでの彼女の戦闘数値が

一瞬とはいえ爆発的に高まったのも事実。

まあ測定器のエラーだと思うがな」

「博士。いつあたしを満足できる相手と

闘わせてくれるのさ。もう飽き飽きだよ」

「お前は強すぎるからな。ただひとりを除いては」


「フンッ。今回はアノ子達もつかわせてもらうわ。予告したとおり、予行練習とさせてもらうよ」


「好きにするがいい私の作品よ」

(…いつまでも自分の創作物だと思うなよ…)

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