女神様からもらったスキルは魔力を操る最強スキル！？異種族美少女と一緒に魔王討伐目指して異世界自由旅！

第50話 一撃

「……『斬鬼（かなきり）』『突鬼（しきく）』」

「シッ！！」

「「「ぐあぁぁ！」」」

　レンゲは盗賊達相手に無双し、俺も負けじと盗賊達を倒す。

　残っている盗賊達が減っていき、そろそろナルカさん達に加勢しに行こうとしたその時。

「グハッ！」

「っ！？ナルカさん？！」

「……っ？！」

「ナルカ！？」

「よそ見してんじゃねぇぞ！」

「しまっ……！」

「……『雷撃』！」

「ちっ！」

　吹き飛ばされたナルカさんに注意を引かれ、こちらを見て隙を晒したエマさんに親玉らしき男が攻撃を仕掛けるが、レンゲが雷撃を放つことで何とか防ぐ。

「あ、ありがとうレンゲちゃん！」

「……ん、敵から目を離しちゃだめ」

「うう、ごめん……」

　エマさんは反省したようにナルカさんの近くによる。

「ごめん、後は……」

「ああ、任せてくれ」

「……ん、任せて」

　俺達はエマさん達を守るように親玉の前に立つ。

「少し見てたがおめぇら、よくも俺の部下をやってくれたなあ！しかもなんだぁ？もう勝った気か？舐めてんじゃねぇぞ！！」

「……『魔纏い』」

　親玉はその体型に合った大剣を振り回して、魔力を纏った体躯でこちらに突進してくる。

　さっきまで戦っていた盗賊達とは格が違うとその迫力で理解してこちらも全力で身体強化をする。

　レンゲも流石に本気を出さないとダメだと思ったのか雷を纏い、親玉に向かって走る。

「ぶち潰れろ！『潰落（つぶおとし）』！！」

「……『流鬼（るずき）』！」

「効かねぇ！！」

「……っ？！」

　レンゲは親玉の振り上げた大剣をとんでもない威力で振り下ろすスキル技を放つ。

　その技をレンゲは『流鬼』で流す事で隙を作ろうとしたが、その腕力で無効化される。

　レンゲは何とか攻撃の直撃は避けたが技の衝撃で少し吹き飛ばされる。

「おめぇも忘れてねぇぞ！」

「『魔力衝撃波（アビリティインパクト）』！！」

「効か……ぐっ？！」

　親玉は俺の攻撃を大剣で防ごうとしたがこの攻撃は物理的な防御は不可能。と、言ってもその代わり物理的なダメージは与えられないし、離れて使った為に余りダメージは与えられなかったようだ。

　しかしレンゲが復活するだけの時間は稼げる。

「……『鬼牙（かがや）』！！」

「ガバッ！？……ウラァ！！」

「……そんな、うっ！？」

「レンゲ？！」

　レンゲは後ろから親玉に斬り掛かるがどうやら致命傷は受けさせられ無かったようでその隙を突かれて攻撃される。

　何とか刀で攻撃を受け流すことが出来たのか、また吹き飛ばされるだけで何とか攻撃は受けきったようだった。

「オラァ！こんなもんかぁ！？」

「くっ……」

「俺の本領は体の頑丈さ！あんなガキの攻撃なんか屁でもねぇんだよ！」

　レンゲの攻撃が直撃したのにも関わらずこいつは怯むどころかさらに勢いを増す。

　こいつの職業が何なのか分からないがとにかく頑丈、そしてステータスは俺やレンゲよりも圧倒的に高い事が今のでわかった。

「『魔力衝撃波』！！」

「ぐふっ……、クソが！馬鹿の一つ覚え見てぇにそれを使っても勝てねぇぞ！」

「なら……！！」

　俺は『魔力衝撃波』で作った一瞬の隙を突いて親玉から離れ、少し意識を親玉より剣に向ける。

　馬車に乗っている間、暇だったので練習していた『魔力衝撃波』の応用を試す。

　まだスキルのレベルが低いからか、うまくやりたいように操作できないが魔力を余計に使って無理やり実行に移す。

　復活した親玉が近づいてくる気配と殺気を感じ、親玉のほうを見据える。

　親玉は先ほど放ったスキルと同じスキルを使ってこちらのに攻撃をして来たので、俺は剣に宿した魔力を『全能操作』で維持しつつ相手の攻撃に合わせて剣を打ち付ける。

　そして物理的にも魔力的にもぶつかった瞬間、根性で剣の中に無理やり詰め込んだ魔力を親玉に向けて解き放つ。

「オラァ！！『潰落』！！」

「無理やり！『二重・魔力衝撃波』！！うああ！？」

「かっ！？がは……」

　俺は剣に無理やり『魔力衝撃波』を二つ詰め込むことで二倍の威力の『魔力衝撃波』を放つ。

　やはりまだ適正レベルではないのか衝撃が自分に来てしまった。しかしその分、親玉にはさらに大ダメージを与えられたようだ。

　俺は立とうとしたが、親玉の技を剣で守ったとはいえ衝撃が来て吹き飛ばされたダメージで体が上手く動かない。

「ぐ……くそがぁ。ぶち殺してやる……」

「！？もう立てるのか……」

　自分では直撃を感じたことないが、今のを感じた感じまるで自分の魂というか正体といった感じのものが吹き飛んで行ってしまいそうな感じをだった。

　そんなものを、さらに何倍もの威力を感じてすぐに立ち上がった親玉に恐怖を超えて畏怖の念を感じた。

「……あとは私に任せて」

「れ、レンゲ！……行けるか？」

「……ん、大丈夫」

「あ？またお前か。そいつはもう戦えねえみてえだからさっさとお前を殺したらもう俺の勝ちだな！」

「……さっきの私とは違う」

「「っ！？」」

　いつの間にかレンゲがこちらに近づいており、親玉から守るように俺の前に立つ。

　レンゲが刀を構えなおすと、レンゲの纏う雰囲気が変わり俺たちは体をこわばらせる。

「れ、レンゲ？」

「……ほんとは使いたくなかったけど、使わなきゃ勝てないなら使う」

「何だか知らねえが、俺はもうお前の剣技ごっこに付き合ってる暇はねえんだよ！！『潰落』！！！」

　親玉は少し焦った様子でレンゲに斬りかかる。しかしレンゲはその攻撃から避ける様子はなく、むしろ向かい打つように刀を構える。

　そしてレンゲは技の名を紡ぐ。

「……鬼人流剣技九式、奥義『鬼々目斬（きらめき）』」

　気が付くとレンゲは親玉の目の前から消えていた。そして同時に気が付く。親玉が持っていた大剣が半ばから折れていること。

　そして、もう斬られていることに。

「が、は……」

「……」

　さっきは少し切り傷が付く程度だったのに頑丈な親玉の体を切り裂き、致命傷を与えた技は正に奥義といったところか。

　しかし俺はそんなことより、どことなく悲しそうな顔をしているレンゲに目が離せなかった。