第36話 レベル


 ステータス説明回です。


 ♦♦♦♦♦


 俺は上昇したステータスを見て小さくガッツポーズをした。


「……どうしたの?」


 そんな様子に気がついたレンゲが尋ねてくる。


「ステータスが上昇したのを見て嬉しくなってついな」

「……なるほど」


 俺はステータスの上がり具合を確認して今後成長するであろうステータスパラメータを見て興奮が抑えられなかった。

 だが騒ごうにも全身筋肉痛の為、小さいガッツポーズが限界だった。


「……そういえば、ナルミのジョブって?」

「ああ、確かにお互いのステータスとか見てなかったな。おれのジョブは『能力者』セカンドは特に入れるものが無いから『旅人』にしてる」

「……『能力者』。聞いた事ない」

「まあ多分、俺だけのジョブかもな」

「……有り得る」


 そもそもエクストラスキルを持っていること自体、普通の人からすれば異常な事だ。

 ならばエクストラスキルを持っているという条件で手に入る特殊職業が存在していてもおかしくないし、その条件なら職業の存在を知られてい無いのは当たり前と言っても過言ではない。


「……レベル上限ってどれくらいなんだろう」

「ん〜、多分最上級職と同じだと思うんだけどな」


 もし最上級レベルなら今後ずっとお世話になるだろうから詳しく知っておくべきだろう。それに1レベル上がることにステータス値が最低でも5ずつ上がっているのもとてもいい。中級職だと上昇最大値の5が普通と考えると上昇速度が二倍、さらに加護のおかげで経験値量も増えてるのでさらに早く強くなれるだろう。



 この前にも説明したが、職業にはランクがある。そしてこれは説明していないが職業にはレベル上限が存在し、その上限まで強くなれる……のだが、現実はそう甘くはなかった。


「……まあ、どれだけ強いジョブでも才能が無いとどうしようもないけど」

「それなんだよなぁ」


 ここで言う才能とは、剣を扱う才能とか魔法を使う才能とかの話ではなくステータスの上昇限界値を指す。


 ステータスの上昇限界とは、文字通りステータス値の上昇には限界値があり、その限界値に達するといくらレベルを上げてもステータスが上昇することは無いという事だ。


 限界値は職業や魔力量、身体の状態など関係無く(呪いなどは除く)、人によってステータスから得られる恩恵の量が違い、体力や筋力など全て別々だ。

 人によっては筋力が必要な職業なのに筋力ステータスの限界値が低くかったり、魔力が必要な魔法職なのに魔力ステータスの限界値が低かったりしてせっかくレベルを上げたのに職業を変えたり、もしくは冒険者を辞める人は沢山いるらしい。

 しかもこの才能限界の怖いところは、今までなんの予兆もなかったのにある日ピタッとステータス上昇が止まる事だ。


 一説によると、ステータスはあくまでこの世全ての生き物が得ることが出来る神の加護をわかりやすく閲覧することができるようにし、経験値を得ることでその加護の力を強くすることが出来る仕組みを勇者様が作ってくれた物で、ステータス限界値はその加護の力を魂がどれだけ受け取ることが出来るか、だと言われている。


 まあ、勿論この説は憶測でしかないが今はその説が正しいかどうかではなく、どれだけ強い職業を持っていても強くなれない可能性があるということが大切だ。


 だが勿論ステータスが上昇しなくなっても強くなる方法はある。体を鍛え、技術を学び、経験を得る。つまり異世界だろうとなんだろうと強くなる方法自体に変わりはないと言っても過言では無いのだ。


 それにステータスが上昇しなくなってもスキルレベルの限界値は全員同じなのでスキルを極めるのも強くなる一つの手だ。


 因みにだが、人族のステータス上昇限界値の平均とは違う平均値をエルフや獣人族などの他の種族にある。


 人族は良くも悪くも何かに特化しせず全体的に平均敵で、獣人族は人族と比べると基本的に身体能力が高く魔力関連のステータスが低い。

 エルフは魔力関連のステータスが高く、魔族は全体的に高いが、魔族内の種族にもよる。鬼人族も全体的に高いが一番高いと防御力が高い等、そんな感じだ。


 これまた因みにだが、魔力量、つまり『MP』は基本的に職業やレベルに影響しないのだ。まあ、結果的に変わりないかもしれないが強くなるには大切なことだ。

 『MP』はレベルではなく魔力操作の鍛錬や消費によって上昇する。なので単純にレベルが上がってもステータスの『魔力』は上昇するが、『魔力量』は増えないのだ。

だがまあ、魔法を使わない職業でも身体強化で魔力を使うし魔法を使う職業は言わずもがなだ。

しかも初期値と最大値も人によって違うため、最初は数倍の差があっても最大まで成長させると逆転して数倍の差になることも有り得なくはない。魔力量で魔法職を辞める人はステータス上限値と同じぐらいいる。


「レンゲのステータスって見せてもらってもいいか?」

「……大丈夫。『ステータスオープン』」


 そういうと俺とレンゲの前にステータスが現れる。


 基本的にたにんのステータスは見ることが出来ないが特殊な魔法道具を使うか、相手に見せようと思いながら開けると他人にも見えるようになるのだ。


 レンゲのステータスはこうだ。


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 名前:レンゲ 種族年齢:16 種族:鬼人族

 ジョブ:鬼剣士Lv.10

 セカンドジョブ:鬼魔術師Lv.6

 HP:357/357

 MP:412/412

 状態:通常

 体力:71

 筋力:64

 防御力:81

 速力:43

 器用さ:87

 魔法防御力:53

 魔力:102

 幸運:20

 スキル:アクティブスキル…『剣術Lv.4』『雷属性魔法適正Lv.2』『魔力操作Lv.2』

 パッシブスキル…『気配感知Lv.2』『気配遮断Lv.1』『瞬歩Lv.1』『直感Lv.1』

 ユニークスキル…『鬼圧Lv.2』

 称号:『恐怖トラウマを得し者』『誓いし者』

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 やはりと言うべきか全体的に見てもステータスはレンゲの方が高い。

 魔力防御力と魔力だけ勝ってるがレンゲは武闘称号なので当たり前といえば当たり前だ。


 因みに『鬼剣士』も『鬼魔術師』も鬼人族専用職で鬼人族にあったステータスの上昇をしてくれる職業だ。


 職業に関しては触れないでおくとして、ユニークスキルが気になったので調べてみる。


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『鬼圧Lv.2』


 殺気や怒気を込めて魔力を放つことで相手にまさに鬼に睨まれたかのような恐怖を与えることが出来るスキル。

 威圧の強さは相手とのステータス差とスキルレベルの高さと込めた気持ちの強さに比例する。


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 おお、なかなか便利なスキルだ。雑魚を追い払うこともできるし、同レベルでも怯ませることができるだろう。


「よし、確認した。ありがと」

「……ん」


 そういうとステータスがスっと消える。


「レンゲはまだまだ成功できるな。しかも魔法の才能もあるっぽいし普通に俺より強くなりそうだな」

「……そんなことない。すぐナルミとんでもないぐらき強くなる」


 俺らはお互いに褒め合いながら未来に思いを馳せるのだった。



♦♦♦♦♦


修正なう(2021/09/30)













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