第35話 計画
俺とレンゲは今後一緒に仲間として旅に出る約束をした後、丁度やってきた治療師さんに体に異常がないか再確認してもらう。
「はい、大丈夫ですね。あと二、三日リハビリと栄養を取って回復すれば退院してもいいですよ。ですが、くれぐれも無茶はしないでくださいね?」
「ありがとうございます!はい、流石に少しの間仕事は休みます。」
「……私はそこまで怪我してなかったから薬草取りの依頼ぐらいなら行ける」
レンゲか任せて欲しいという感じに胸を張るが、苦笑いしながら止める。一応蓄えはあるのだ。
「まあまあ、まだ俺はヒモになるつもりは無いかな。それよりここを出たあとにどこに行く決めよう」
「……むう、わかった」
「ん?お二人はフルベニカ街から出ていくのですか?」
記録をつけていた治療師さんは会話に入ってくる。
因みに『治療師』とは主に冒険者を除いた回復魔法を生業としている人を指す名称で、教会に御布施を渡すことでしてくれる回復とは違うとされている。
そもそも使う力が違い、治癒師はあくまで『回復魔法』を使うことで患者を治療してくれる場所で、教会は神の加護による治療だ。
何故わざわざ二種類も回復する施設があるのか?それは使う力が最もな原因であり、詳しくは省くが『回復魔法』を使うのに必要な強さは魔法を使う才能と技術で、『神の加護』を使うのに必要な強さは信仰力と加護の強さだからだ。
「もし次に行く街に悩んでらっしゃるなら『ファーナント街』をおすすめします」
「……ファーナント?」
「因みにどんな理由で?」
ファーナント街、聞いたことがあった。詳しく知っている訳じゃないが、聞いた話によると物流が王都ほどじゃないにしろ多く、それに比例して街もでかくて高ランクの冒険者も多いいとか。
そして一番有名なのはとあるイベントがあるらしい。
「ファーナント街はですね、ご存知かと思いますがまず色々なものが売られています。お二人は冒険者のようですから護衛依頼でもして資金を稼ぎながらあの町に行き、強い装備や食料を買うのもありでしょうし、商人も多いいですから情報も沢山手に入ることでしょう」
「おー、確かにそれはいいな」
この街も十分色々な物が売られているがそこまで言うならきっとここよりも沢山の物が売っているのだろう。
「後、王都に行くならこの道が一番最短ルートと言うのもあります。……そして!やはり一番の目玉といえばあのイベント!『
「おお!」
「……おお?」
レンゲはあまりピンと来てない様だったが、その凄いとの噂を何度も耳にした俺は少しテンションが上がる。
ただ一つ、勘違いしないで欲しいのが『美魔身祭』とあるが別に『悪魔的に美しい身体の祭り』的ないかがわしい祭りではないという事だ。
「『美魔身祭』……。元々小さかったファーナント街が発展する理由の一つである大きな祭りであり大会です。今では他国からもこのイベントを見る為に、そして参加する為にやって来る程らしいです。」
「よく噂で聞きますね!確か魔術と体術を両方使って美を表現する祭りでしたっけ?」
「そう、その通りです!」
魔術と体術を使って美を表す。言葉通りとにかく美しさを競う大会であり祭りだ。
参加者は沢山いる。例えば冒険者だったり魔術学院の部活員だったり劇団などなど。色々な人が戦闘等で培った連携や技術をいかにして観客や審査員にいかにして美として魅せることが出来るかがこの大会の内容であり醍醐味だ。
「人生で一度は絶対見たほうがいい。少なくとも僕はそう思うほどに感動した。そういえばあのイベントは後二か月とちょっとで開催されるはずだ。リハビリを終え冒険者として復帰して一ヶ月ほどした後にこの街を出れば十分間に合います。どうですかね?」
治療師さんの押しが強い。余程自分が経験した感動を共有したいのだろう。
世界中から見たことも聞いたこともない不思議な技を見ることが出来るお祭りだ。しかもこの世界は前世と比べて圧倒的に娯楽が少ない。
その見事な技に魅了される人は少なくないだろう。
「そうだな……。正直まだ目的地は明確に決まってないから治療師さんがそこまで言うならそこにするか。レンゲはどうだ?」
「……うん。それでいい」
レンゲからも許可が出たのでファーナント街に行くことが決まった。祭りに参加するかどうかは別として『美魔身祭』にはとても興味があった。
「おお、それは良かった!実はファーナント街には兄弟が私と同じように治療所を経営しています。私が言うのもなんですが治療所にそうそうお世話になるのはあまりいいことではないかもしれませんが、もし兄弟にあったらよろしく言っといてください」
「ははは、わかりました」
少し苦笑いをしながら答える。まあ冒険者なのでもしかしたら利用するかもしれないがピンポイントで治療師さんの兄弟に会うことはないだろう。
俺たちは少しの間雑談をした後、治療師さんはそろそろ時間だといい部屋を出て行った。
「……『美魔身祭』。少し気になってきた」
「やっぱりあそこまで凄いといわれるとやっぱり気になるよねえ」
俺はレンゲと会話しながらステータス画面をいじる。
「ん、これは……」
俺はステータスに『保留中』と書かれているのを見つける。
そういえばログで保留って書いてたなと思い保留を解除した。
『保留解除を確認。身体的ダメージの減少を確認。レベルアップを開始します。』
『『能力者』のレベルが5上がりました。』
『『旅人』のレベルが2上がりました。』
『『剣術』スキルが1上がりました。』
『パッシブスキル『不屈』を手に入れました。』
『パッシブスキル『集中』を手に入れました。』
「おお!」
「……ん?どうしたの?」
俺はステータス画面に現れた言葉に歓喜の声をあげる。
レンゲが少し驚いたように聞かれたが答える前に先にステータスを確認する。
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名前:全 鳴海 年齢:17 種族:人族、神の使徒(隠蔽)
ジョブ:能力者 Lv.6
セカンドジョブ:旅人 Lv.3
HP200/200
MP300/300
状態:身体的疲労
体力:20→40
筋力:25→45
防御力:20→40
速力:20→40
器用さ:32→60
魔法防御力:27→55
魔力:110→150
幸運値:50
スキル:アクティブスキル…『剣術Lv.1』→『剣術Lv.2』『不屈Lv.1(NEW)』『集中Lv.1(NEW)』
パッシブスキル…『鑑定Lv.1』→『鑑定Lv.1』『隠蔽Lv.1』『気配感知Lv.1』
ユニークスキル…『アイテムボックスLv.1』
エクストラスキル…『全能操作Lv.2(隠蔽)』
称号:『女神の加護を受けし者(隠蔽)』『究極のスキルを手にし者(隠蔽)』『転生者(隠蔽)』『勇者(仮)(隠蔽)』
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俺は小さくガッツポーズをした。
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予定期間を少し修正。なう(2021/09/06)
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