閑話1 それぞれの視点
すいません!家庭の事情で先週投稿できませんでした!もう一話今週中には投稿するので許して!
あ、今回まあまあ長めで、ほぼ説明会です!
♦♦♦♦♦
side女神(ネビィーネ)
「そこそこ!行ける!そう!よしゃあ!」
私は床に座り込んでポップコーンを食べながら目の前に置いてあるテレビもどきにを見ていた。
勿論そこに映ってるの私が初めて転生させた人間である『全 鳴海』だ。
途中、鳴海が気絶しかけてヤバかったが仕込んでおいた力が発動したっぽいから良かった良かった。
「ん〜、ちょっと気になることがあったけど特に気にすることも無いか!いや〜、ハラハラドキドキして楽しかったねぇ!」
「……」
私は隣に座っている友達の天使、『てんちゃん』にそう話し掛けるが、てんちゃんは口を開いたまま固まっていた。
「ん〜?どうしたのてんちゃん」
「……どうしたもこうしたも無いですよ!」
「うぉっと」
てんちゃんは私の肩を掴んで問い詰めるように言う。
「って言うか私を『てんちゃん』っていうのやめてください!私には「ミリファメスト・クロシス・ブコルド…(中略)…ラレルズ・キリファー』っていう名前があるんです!せめて本名を愛称にしてください!」
「相変わらず長ったらしい名前だねぇ」
「神であるネビィー様の方が長い名前持ってるでしょ!?」
「まぁ確かに」
私も人のこと言えないくらい名前持ってますけども。
「とにかく、てんちゃんていうあだ名の変更を要求します!」
「え~?てんちゃんでいいじゃん」
「よくありません!」
仕方ないので私はさっき聞いた名前からいい感じに文字を抜き取って名前にする。
「じゃあ『ミッ〇ー』で」
「それはそれでだめですー!!!……っていうかそんなのどうでもいいんですよ!!」
「いやてんちゃんが言い出したことでしょ……」
贅沢な奴だな、と思ってたらいきなりどうでもいいと言い出したので流石にツッコむ。
「なんなんですか今の!?魔法が急にまるで彼に操作されたかのように動きましたよ?!」
「そうそう、その通り」
私の言葉をガン無視しながらてんちゃんは私を問い詰める。
私は鳴海に与えたチートの効果をあっさり見抜いたてんちゃんの言葉を素直に肯定した。
「その通りって……まさか前に言ってた転生者君にものすごいチート渡しちゃった☆ってこの事ですか?!」
「そゆこと」
「そゆことじゃないんですよぉ!!」
てんちゃんは物凄い剣幕で迫ってくる。
多分だけど、自分の仕える神にここまで怒気の籠った剣幕で迫るてんちゃん以外の天使はなかなか居ないだろう。神と天使の立場的に考えるととんでもないことだ。
まあ、てんちゃんがここまで言ってくるのは私を心配してってことはわかってるのであんまり強くは言えないけども。
「あんな強い能力を付与したってことは、女神様のお力は……」
「うん、半分以下だよ」
「やっぱりーー!!!」
てんちゃんは頭を抱えて叫んだ。
何故てんちゃんがここまで困ったように言ってるかと言うと、それは神の存在そのものに関係してくる。
神の世界である神界における、神と天使の違いに一番に上げられるのは所謂『神力』とも呼ばれる力の総合的な差。まあ、単純に言えばある一定の強さ以上の存在を神、それ以下が天使と呼ばれる。
つまり天使も時間をかければ神になることがある。まあ、余程運が良くないと普通に数百年ぐらいかかるけど。
そして神になることが出来る程の強さを持った存在は全ての神の頂点に立つ存在、最高神様から神力とは違う特別な力、所謂『権能』的な力を得ることが出来る。
その力を体に宿した時、初めて神となることが出来るのだ。
神によっては自分で選べる事もあるらしいが、基本その神の神力と相性のいい力を貰うことが出来る。私の場合、一番適正だった力が『運命』だったので一応、っていうか正真正銘『運命神』だ。
と言っても、別に予言とか出来なくはないけどそういう類の神託を(確実に必要な時以外)したりする訳ではなく、生き物全ての人生を定めてる訳でもない。
基本的な仕事は運命から外れた存在、例えば神々の干渉を一切受けずに偶然別世界から転移してしまった物の除去や、それによって起きてしまう世界そのもののバランスの崩壊を阻止するのが仕事だ。
因みにだが、転生者を転生させる力は権能ではなく権利であり、世界の維持を担当している神全てに与えられてたりする。
今回は世界そのものについては説明は省くが、世界は無数にありひとつの世界には色々な神が何人もいて色んな役割で世界を守ってるって事を覚えていればいい。
おっと、少し話がそれすぎちゃったな。話題を戻すと、てんちゃんが一番心配していることは私の力の減衰による体の崩壊の危険性だ。
神を神たらしめる『権能』を維持するのは簡単ではない。簡単ではないからこそ神でないと付与して貰えないのだ。
その為、力を分け与え過ぎて神としての仕事を出来ず、更には体が力に耐えきれず崩壊してしまうなんて愚の骨頂だ。
「あ〜、大丈夫大丈夫。ちょっとした細工をすることで消費する力を本当に半分ちょっとに抑えたから」
「半分ちょっとでも十分ヤバいと思うんですが……。そもそも神力の半分って色々やばいんじゃ……って細工ですか?」
「そう細工。って言っても彼の適性をいじっただけだけど」
確かに神力を半分も与えた存在なんて普通に天使レベルだな、なんて思いながら話を進める。
「適性……ですか?」
「うん、鳴海には魔法に関する適性がほぼ0にした。初級魔法ならギリ使えなくもないけど、初級なのに詠唱フルで使わなきゃならなきし、スキルの取得ははっきり言って絶望的になってる」
正直魔法の世界ではちょ〜不便だと思うけど仕方ないよね。それに魔法ができる子が仲間になったみたいだから安心安心。
「え、それって……」
「そう!彼の適性は私が与えたチートに全振りしてるんだよね〜」
「えぇ……」
「だから私の力の消費を極限まで減らして神としての力を維持できる程度の力は残してるわけ」
私はてんちゃんを安心させるために説明する。
「で、でも!彼は剣技スキルはすぐに手に入れてましたよね!?」
「あ〜、あれは全転生者に与えられる神の加護によるスキル取得率上昇のお陰と、多分だけど魔法スキルに経験値が行かない分の経験値がそっちに行ったんじゃないかな?」
「え〜?そんなこと無い訳でもないですけど……」
「でしょ?」
明らかに適当風に言ってる私にてんちゃんは頭が痛そうにする。
「あっ!じ、じゃあさっきの急に強くなったのはどう説明するんですか!見方によっては神が世界の危険でもないのに介入したみたいに見えましたよ!?」
基本的に神や天使が世界に干渉することは禁止されている。
干渉していいのはその世界が何らかの方法で滅びそうになった時だけだ。人間たちを導くために神託をしたり、争いを止めるために勇者、もしくは転生者等をその世界に送ることでその世界を崩壊から阻止する。
結局の所、干渉と言っても直接ではなく間接でしかない。神が直接世界に干渉しすぎると大きすぎる力に世界が耐えられずに崩壊してしまうかもしれないので仕方ないのだ。
それにあんまり干渉しすぎると『世界そのものが』神の干渉に慣れてしまう危険性があるのだ。
「あれね、やっぱりバトルものだと良くある主人公が復活する時に強化されるって展開すごい燃えてかっこいいじゃん?それをちょっと再現してみただけさ。そう、あえて名付けるなら『使い捨ての神の加護』だ!」
そう私がドヤ顔で言うとてんちゃんはじとっとした目で私を見る。
「まあ、わからなくもないですけど。って言うか『使い捨ての神の加護』って……やっぱり女神様ってネーミングセンス無いですよね。」
てんちゃんは私のネーミングセンスを批判するというこの世で最も罪深い事を私の目の前ではっきりといいやがった。その瞬間私はブチギレる。
「なんだとぉ!私のどこがネーミングセンスないんじゃあ!鳴海のスキルだって『
「はぁぁ?!むしろどこを見ればネーミングセンスあるように見えるんですか!なんですか使い捨ての神の加護って!なんですか
「ダサくない!ダサくないもん!」
「いーえ!ダサいです!それに女神なら女神らしい言動をして下さい!」
「そんな事ない!私は女神らしいことしか言ってないしネーミングセンスは天才的だもん!!」
二人はこの後、一時間ぐらい他の天使が見れば絶句し、神が見れば呆れるような神と天使の口喧嘩をお互いの体力が無くなるまで続けたのだった。
♦♦♦♦♦
sideテリーヌ
私の名前はテリーヌ。ただの服屋だ。
ちょっと人脈が広いだけで基本的に他の服屋と変わりない。
あ、時々自分の営業する店から長期間いなくなることを除けば、だけどね。
そんな私は全身へのダメージによって数日寝込んでる未来のお得意様のお見舞いに行った後、路地裏に入ってとある場所に向かう。
入り組んだ道を進んでいくと目的地付近の道に着く。
そこはとても静かでさっきまで聞こえていた街の喧騒も聞こえなくなり、少し薄暗くちょっとだげ不気味な雰囲気を醸し出す場所だった。
もしかしたら人避けの結界でも貼っているのかもしれない。
そんな事を考えながら、目的の建物を見つけて近づく。
私は目的の建物のドアの前に立ち、決められた通り四回ノックする。
「……誰だ」
「十七の金狼」
「……」
ノックをすると男の低い声が聞こえ、私の名前を聞くが私は構わず合言葉をドア越しに言う。
この合言葉は毎日変わる。月の数字と日の数字を足してそこの四を足した数字と、その日の曜日に決められた言葉が合言葉だ。
ま、それを言えたとしても開けてくれるかはこの家の門番さん次第だけどね。
すると薄暗さも相まって木製なのか鉄製なのかよく分からない素材でできた扉がゆっくりと開かれる。
中は殆ど真っ暗で、所々光る物があるが基本道がある事を示す為だけのもので真っ暗と言っても過言ではない。
「ありがとね!」
「……」
ドアが開かれたそこにはさっき喋っていた男らしき人物はいない。だが、確実にそこにいるだろう人物に感謝を伝えて私は中に入る。
私は勝手に閉まるドアの音を聞きながら真っ暗な道を進む。
二度ほど決められた道を曲がり少し歩いたところで光が漏れるドアを見つける。私は躊躇わずに勢いよくその扉を開ける。
「やっほ〜!みんな元気にしてたかい?」
私は中にいる人を一切確認せずに大声で挨拶をする。
少なくとも絶対に一人は来ていることを確信しているからだ。
「ふむ、久しぶりだな、服屋。お前こそ元気にしてたか?まあ、聞かずともわかるが」
相変わらず淡々としていて無愛想な男の声を久しぶりに聞いて少し楽しくなる。
「なはは!そりゃもちろん元気いっぱいさ!ふむふむも元気そうでよかった!」
「……その『ふむふむ』というのを辞めろ」
私はこの街の門番であり、英雄さんに元気に答える。
彼が何か言っているが無視だ。
因みになんで彼のことを『ふむふむ』と読んでるかは……まあ、言わずともわかるだろう。
「一応時間通りだよね?来てるのって私とふむふむだけ?」
「……いや、私だけではなく」
「俺もいるぜ」
「うわっと!?もう!急に出てくるの辞めてって言ってるでしょ?ケーノちゃん」
「けっけっけ、すまんな。これが生き甲斐の一つでもあるからそれは出来ん。後、ケーノちゃんは辞めろ」
「全く、迷惑な生き甲斐ねぇ」
私はそう言いながらもう一人の参加者を探すが、この場所にはいなかった。
「あれ?ゴーちゃんは?」
「ゴーちゃん……。ああ、ゴンズか。彼なら例の件とお得意様の依頼が同時に来て忙しいらしく来れないらしい」
「けっけっけ!あの頑固爺がゴーちゃんか!いい名前じゃねえか!けっけっけ!」
ふむふむは事前に聞いていたようでゴーちゃんのことを話し、ケーノちゃんは爆笑していた。
「そっか、残念ねえ。まあいいわ。私たちで話しちゃいましょ」
「ふむ、そうだな。で、テリーヌは確か彼のお見舞いに行ったんだったな。容態はどうだった?」
「うん。まだ寝てたけどだんだん体のダメージも無くなっていて後二、三日もかからずに目覚めるらしいわ」
「けっけっけ、運がいい奴め」
「そういう割にはふむふむを除いて一番初めにレンちゃんのことを見抜いて自警団を呼んだのはあなたでしょ?」
「さて、何のことだか?」
「もう、素直じゃないわね。その気持ち悪い笑みも治さないと一生独り身よ?」
「うるせえ!笑い方は癖なんだから仕方ねえだろ!っていうかここにいる全員独り身だろうが!」
「……」
「私はまだまだ出会いがあるからいいのよ」
ふむふむはナルちゃんのことを心配していたので報告するとケーノちゃんがひねくれたことを言うので私が手に入れた情報を暴露するが、ケーノちゃんは意味ありげな薄ら笑いを浮かべてしらばっくれる。
なので私はその笑い方をいじってあげたらふむふむまで飛び火が行っちゃった。ゴメンね☆
「けっ、今はそういうのはいいんだよ。ほらよ、あいつらを襲ったやつの情報だ」
「おお!流石ケーノちゃん!仕事が早いわねえ!」
「……ふむ、把握した。疑ってるわけではないが、この情報は確かかね?」
「ああ、基本俺は単独で動いてるから基本情報が漏れることはないし、俺以上のやり手の同業者でもいない限り奴らは俺が見つけたことに気づいてないだろう。まあ、そんな奴いねーけどな」
ケーノちゃんは『ステルス』の技術と情報収集能力に長けている。その力でこの街を守っているの。まあ、本人は「守っている」ってとこは認めないだろうけど。
「ふむ、ケーノちゃん以上の情報屋か……。その能力でこの街の闇のほとんどを告発した英雄様が言うと違うな」
「けっ、一人で数百年に一度レベルのスタンピードを止めた英雄様に言われるとは光栄だねえ」
「あれは私一人の力でなく私を信頼してくれたみんなの力だ」
「はいはい、そういう自慢話はまた今度にしなさい」
「……自慢ではない」
「そうだぜ、そういうお前もその広すぎる人脈で各国の王族どころか他種族の王、それどころか魔族とさえ交流があるとんでもねえ服屋さんじゃねえか」
「私の場合その伝手は代々受け継いだもので正確には私が作ったものじゃないわ」
「十分だろ」
まったく……。何回この会話をするんだか。
「じゃあ、後はふむふむに任せて解散しましょうかね」
「ああ」
「そうだな。あ、そうだ『イーノア』。少し頼みがあるんだが」
「ふむ?『ケリノス』が俺に頼みとは珍しいな」
男二人で何か話があるようだが、私には関係ないのでさっさと外に出た。
「お邪魔しましたー!」
「……」
最後に門番をしてくれてる子に挨拶をして建物から離れる。
さて、さっさと帰って店の準備をしますか!
♦♦♦♦♦
2021/11/19『ケーノス』→『ケリノス』に変更。
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