第16話 種族
「……角だ。」
角、そう角だ。先端はそこまで尖っている訳ではなく、敵を突き刺すことなんてできそうになく、そもそもそこまで大きくない。それこそローブやフードを被っていたらほぼ確実にバレない程度の大きさだ。
だがどう考えても普通の人族では無いことは確実だ。
俺の頭に一瞬、『魔族』と言う言葉がよぎったがすぐに消した。
決めつけは良くないな、うん。そうだ、俺には女神様から貰った知識がある。詳しいことは分からないかもしれないが、種族の名前ぐらいわかるはずだ。
俺はそう思うとすぐに頭の中の知識を探る。
ちなみに、女神様から貰った知識はまるで本のようになっている。
例えば『エルフ』で調べればまるでエルフについて書かれてあるページを開いたかのように知識がが入ってくるし、『種族』で調べれば『人族』を始め、『獣人』『ドワーフ』『エルフ』……と、本のページをめくるように調べることが出来る。
しかし、その種族の名前がわからなければ調べることはできない。なので最初から調べるしかない。
ちなみに、ステータスにスキルとして出てないのは、あくまで頭の中に植え付けた知識であってスキルではない、という女神様の無理やり理論だ。
俺は予想以上にある種族の中から『角が生えている』という条件で抜き出していく。
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種族:獣人
種族名:牛人族
特徴:人族と比べ、男女問わず背が高く力が強い。
耳の位置は人族と変わらないが長く、耳より少し上に前方に向かう角が生えており、牛に酷似した尻尾が生えている。
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う〜ん、多分違うな。身長は今後大きくなるとしても、角の位置が耳の上じゃなくて目の上、つまりおでこに生えてるからな。それに尻尾も生えてない。
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種族:魔族
特徴:人族と比べ、保有魔力が多く寿命が長いものが多いい。
鳥のように翼が生えているものや、ドラゴンのようにしっぽが生えている者や角の生えている者、人型ですらないものや人型だか獣の顔をしているものもいる。
極偶に限りなく人族に近いものもいる。
全ての魔族に共通するのは体に大きな痣があること。
寿命は約300歳。
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痣……う〜ん。わからん。
少なくとも手や足、顔にはそれっぽい痣はないな。本気で確認するなら全部脱がさなきゃならないが、それは最終手段だ……。
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種族:鬼人
種族名:鬼人族
特徴:人族比べ、強靭な身体能力を持ち、身長は大きいものから小さい者もいる。
特殊な魔法を使う者もいる。
見た目は人族に近いが、鬼人の共通点として角が生え、成長によって伸びる。
急所を隠す以外の為に服は着ないために、オシャレをするなどの文化はない。
寿命は約300歳。
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おっ!これじゃね?!角も生えてるし、見た目は人族に近い!体が頑丈だから足に怪我をしていないのも説明が着く!
俺は改めてレンゲの顔を見つめる。
流石異世界って感じだな。『鬼人族』……かぁ。他にも『龍人族』とか『妖精族』とかいるみたいだし、『獣人』にも色々な種族がいるみたいだ。
いつか見てみたいなぁ。……ん?あれ?
俺は置いたレンゲが着ていたローブに違和感を感じる。
「なんかよくわからないけど、何故かローブが意識から外れる……。というか、いくらフードを被ってたからって、顔が見えなかったのっておかしくね?」
俺はふと気にってローブに鑑定をかける。
「『鑑定』……あれ?『鑑定』、『鑑定』……あれ?」
何度も『鑑定』をしても鑑定した時に出たウィンドウみたいなのが一向に出なかった。
『隠蔽』によって阻害されてる?いや、『隠蔽』されてても、鑑定自体はできるはず……。
なら『認識阻害』とか?……ありえそう。
俺は『認識阻害』スキルによって『鑑定』が阻害されてるのではないかと考えた。
『認識阻害』で『鑑定』のために向ける意識が無理やり阻害されてるなら、どうすればいい?どうすればスキルを無効化すれば……あっ、そうだ。俺にはこれがあった!
俺はこの1ヶ月、魔力操作ばかりに意識が行って、ほぼ忘れていた能力を使う。
「『
『全能操』で干渉することによってわかったスキルの膜みたいなのをスキルで無理やりこじ開け、そこに『鑑定』の魔力を差し込んだ。
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名前:認識阻害のローブ
ランク:B
強力な『認識阻害』スキルと『物理耐久度上昇』が付与された麻布でできたローブ。
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俺の予想どうり『認識阻害』スキルによって『鑑定』は阻害されていたようだ。ついでに(多分こっちがメイン)、レンゲの顔を見られないようにするために付与されていたのであろう。
こんなスキルが付与された装備、誰でも持っているわけないよな?つまり、鬼人族の村ではこれぐらい簡単に作れる人がいるということか?
いやでも、身体能力に優れた鬼人族から連れてこれるぐらいの強い護衛がいる商売人たちがこの街の近くの魔物に馬車ごと横転させられたりするか?
これは起きたら聞かないとなあ……。俺も初めての討伐依頼で疲れたし、少し仮眠を取るか。
俺はこの後起きるであろう面倒事を思いながら、レンゲに布団をかけて自分も少し仮眠をとる準備をするのであった。
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