第10話 初依頼
次の日の朝、鳴海はふと目が覚めた。
今は何時ぐらいだろうか。視線だけを移動させて、窓から外の光を見る。
(そこそこ明るいな……)
俺の中の体内時計と合わせるとだいたい7時半ぐらいだと思う。
少し頭をボーッとさせながら、寝癖を何となく直し、眠気を覚ますため前世でも習慣にしていたストレッチ、所謂ルーティンのようなものをする。
「うん、目が覚めた。」
そう言い、外に出ようとするが、ふとあることに気が付き、少し考える。
「光初級魔法『
初級魔法、つまり生活魔法みたいに誰でも使える訳ではなく、適性がなければ使えない魔法。と、言っても初級なので、ちょっと適性があれば使えるので数人に1人は使える魔法である。
「イメージはそうだなあ……、バイ菌を死滅させつつ汚れを分散させる感じ……『洗浄』!」
手のひらを自分の胸元に置き、そう詠唱する。すると、手のひらが光出したと思ったら体全体にその光が纏い始めた。その光が収まると、とてもスッキリした気分になった。
「おお、すごい。服も汗も綺麗になった!便利!」
ただ、あまり自分には光魔法の適性があんまりないことに何となく気がついた。
「ああ……、光の十字架で〜みたいな魔法とか、かっこよくて使ってみたかったんだけどなぁ……。まぁ、しょうがないか。」
パパっと諦め、再度ちゃんと『洗浄』が効いてるか確認する。
「うん、完璧だ。それに服の色が抜けてもない。成功だな。」
確認も終わったところで、食堂に行く。
「あ!ナルミさん!おはようございます!早いですね!」
と、リラちゃんが元気よく話しかけてきた。
「おはよう、リラちゃん。朝食ってまだかな?」
「あ、今からでも大丈夫ですよ?メニュー自体は夜と変わりませんが、日替わりは夜と朝で違うので気をつけてくださいね?」
「うん、わかったよ。」
ちゃんと朝食と夕食の栄養バランス的なものがちゃんとしてるのかも。
「あ、これ聞き忘れてたんですけど、昼食は食べられますか?」
「う〜ん……。」
どうだろう?Gランクで初依頼とかすぐ終わるものしかないような気もするけど、そうとわ限らないかもだしなぁ……。
「多分帰って来れるから、用意してくれると嬉しいかな?」
「わかりました!気をつけてくださいね!」
朝食を食べた後、すぐに冒険者ギルドに向かった。ギルド内は以前とは打って変わって賑やかだった。特に依頼が貼られた掲示板のようなところには沢山人が群がっていた。所謂、依頼争奪戦的なものだろうか。
少し気になったがスルーし、受付に行く。
「あ、ナルミさん。おはようございます。どうかしましたか?」
ちょうど空いていた受付嬢であるララさんが話しかけてきたので挨拶を返す。
「おはようございます。依頼を受けたいんですが、あれって依頼争奪戦みたいな感じですか?」
と、掲示板の方を見ながら言うとララさんは「あ、そういえば」と、言って依頼に関しての説明をした。
「ナルミさんの言う通り、依頼は早い者勝ちです。指名依頼や常時依頼などは例外ですが。あっ、『指名依頼』は、高ランクで有名な冒険者ではよくある依頼で、依頼者が特定の冒険者、もしくは冒険者パーティを指名して依頼を出すことです。これは受けるかどうかは指名された冒険者次第ですが、余程変な以来では無い限りギルドは指名依頼を冒険者に勧めます。どうしてかと言うと、ギルドも冒険者も両方ともに評価が高まって、互いに利益が出るからです。『常時依頼』は常に依頼掲示板にある依頼で、わざわざ剥がして持ってこなくてもいい依頼です。代表的なのは薬草集めですね。取ってきたらギルドの入口から左の納品場に納品してください。そこでは納品物の状態や数によって追加報酬が貰えるかもしれませんよ。依頼の完了はここでしますから、納品場で貰ったカードを持ってきてください。そしたら追加報酬も込みで以来達成報酬を渡します。あと、依頼は自分の1つ上のランクのクエストまで受けられます。もし依頼の取り合いになったても、ギルド内で揉め事は起こさないでくださいね?ギルドの評価に繋がるのはもちろんのこと、冒険者にもペナルティがありますから。」
「はい、わかりました。」
まあ、とにかく簡単にまとめると、『指名依頼』は、高ランク冒険者が指名されて受ける依頼で、『常時依頼』は、いつでもある依頼、依頼は1つ上のランクしか無理で揉め事起こしちゃダメ、ってことかな。
「説明ありがとうございます。今日はまず常時依頼からやろうと思います。」
「はい、それがいいと思います。アドバイスもしますから、受ける依頼を決めたら戻ってきてくれますか?」
「わかりました。」
そう言って受付を離れ、掲示板のところまで行く。
「え〜と、なになに?常時依頼は〜……これか、『薬草10個採集 200ユル』『草むしり1時間 50ユル』『建築作業の手伝い 時給70ユル』『商品の移動 時給80ユル』……なるほど、どれも簡単なものばっかだ、討伐依頼はだいたいE〜Dランクからか…まあ、ちょっとずつやってくか。」
慣れは大切だ。薬草採集という基本中の基本もできないようじゃ、冒険者と名乗れないだろう。多分。
「あ、帰ってきましたね。どの依頼にしましたか?」
「えっと、午前中は薬草探しに行って、午後に物運びの依頼を受けようと思うよ。」
昼は宿屋に帰らなきゃならないし、これぐらいが妥当だろう。
「なるほど、わかりました。では薬草のとり方と、薬草の種類、作業場の場所を説明しときますね。」
「お願いします。」
その後、ララさんから薬草の見た目と見分け方、採取の仕方、薬草の群生地、作業場を教えてもらった。
「では、行ってきますね。」
「はい、薬草採集は簡単ですが、気を抜かないように。」
冒険者ギルドを後にした。
……………………………………………………
ち、チートはもう少しお待ちを……。
相手が魔法を使える前提の力ですから最初はなかなか使えないんです…(--;)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます